食博の歩き方
住宅メーカーの苦戦が続いています。超大手はなんとか黒字を維持していますが、その他のメーカーは軒並み赤字が続いています。耐え切れない会社は電気量販店に支援を求めたり、親会社の支援を受けたり生き残りに必死です。
住宅メーカーの強みは何だったのでしょうか。良く言われるのは製品の均質性とアフターの充実、それにブランド力です。それらをアピールしながら発展してきたのですが、ここに来て行き詰まり感が顕著になっています。
国交省は昔から、日本人の住宅は、ハウスメーカーが造れば良いと考えています。その方が国として管理がし易く、住宅政策が安定するためです。意図的に中小工務店を追い落とすために、数々の方策を打ち出しました。住宅性能表示制度や瑕疵担保保険はその例です。住宅のハードルを上げる事により力のない中小工務店は廃業に追い込まれたのは事実です。
しかし、優良な中小工務店は住宅性能表示制度や瑕疵担保保険を積極的に取り入れ、製品の均質性やアフターサービスを充実させた結果、大手メーカーとの差が無くなってしまったのです。
唯一残ったのがブランド力です。名前が世間に知れているだけで、何となく安心と云う心理効果です。そもそもブランドとは何でしょう。語源は放牧中の牛が誰の所有物か明確にするため、焼印して区別することから発しています。ブランドそのものに有名とか高級とかの概念はありません。
ファッション界で自社の製品をアピールするロゴやマークを製品に付けたのが、ブランド品の始まりです。
住宅メーカーもブランド力を背景にした営業戦略を取っていました。ロゴやマークこそ建物に取り付けてはいませんが、会社名そのものをブランドとしてCM広告を流し続けました。半ばその試みは成功し住宅メーカーの今の地位を確率したのですが、良いものであるかどうかには疑問が残ります。有名であるのと良いものは別物であることに消費者が気づき始めたのです。
冷静に考えると住宅は非常にパーソナルな製品です。クライアント一人一人に寄り添うように設計して、手作りで造り上げる方が、住まい手にフィットした家になるのは明白です。そうしないとローンが終わらないうちに飽きてしまって、ローンを払い終える頃には建替えに気持ちが向いてしまいます。
均質化を図りすぎた住宅メーカーでは、家造りの根本である、パーソナルに造り上げる事が出来ません。
インターネットの普及により、今やどんな小さな工務店でも、手作りの良さをアピール出来る時代になりました。この強みを生かして益々中小工務店の攻勢は勢いを増すでしょう。中小工務店がブランド力を持ち始めたのです。