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コラム
古民家のリフォーム
2012年10月22日
先日、奈良の古い民家が訪ねる機会がありました。そこを利用してイベントに使おうと云う企画です。
古い家をリフォームして古民家の良さを残しつつ、次世代に継承しようと云う試みです。日本の古民家は、現在絶滅が危惧されています。京都の町屋の様に良さが見直され、若い人達が進んで活用する様な機運が出来てくれば、街全体の景観を保全することも可能です。
しかし、それなりに費用が掛かるのも事実です。古民家は基礎が脆弱です。明治中期以前の建物には全く基礎と云う発想自体がありません。基礎が無い方が伝統的工法の耐震改修が利用出来て手っ取り早く改修が可能なのですが、中途半端に基礎があると現行法に合わせるため耐震改修に大きな費用が発生します。
日本の家屋に基礎が造られ始めたのは明治24年の濃尾地震以降の事です。それまでの家には基礎が無く地面に束石を並べて、その上に束(柱)を建てて家を建てていました。大きな地震が発生すると束と束石の間で免震作用が発生して、建物は変形しますが、倒壊には至りません。地震が終息すれば、梃子やコロを用いて束石の上に束を戻してやればまた建物として使用できました。
濃尾地震の際に、耐震と云う概念が生まれ、家を倒壊から守る方法として、地震力を受け流すのではなく、踏ん張って耐える耐震工法が有利だとされ、耐震工法を構築する基本として基礎が考案されました。
当時の基礎はまだまだ脆弱で質の悪いコンクリートや、レンガで造られた基礎もありました。
基礎と同様、筋交いも濃尾地震の際に生まれた発想です。ところが筋交いを固定する方法は、釘やカスガイのみで、圧縮方向の力には耐えられましたが、引っ張り方向の力には殆ど無抵抗でした。筋交いが金物で固定される様になったのは、公庫仕様の建物で昭和56年以降、一般の建物で平成14年以降です。
明治中期以降の建物は平成の最近に至るまで、地震に弱い中途半端な工法で建てられています。
古い家にお住まいの方は、機会があれば耐震診断を受けてください。家族の命を守る第一歩です。
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