失礼な電話
何度も訪ねている信州ですが、安曇野だけは何度行っても心がときめきます。
若い頃に、信州に憧れた思い出が切ない郷愁となって、足を運ばせるのかも知れませんが、多くの芸術家が安曇野を愛している様に、安曇野に心を動かされるのは私だけではないようです。
あまりにも有名な荻原碌山の作品を展示した碌山美術館。何度訪れても碌山の彫刻には見入ってしまいます。また美術品を収納するこの建物も、安曇野の景色に溶け込んで独特の風情を醸し出しています。キリスト教の教会を模したデザインですが、キリスト教とは無関係で昭和33年に今井兼次が設計したものです。
美術館を象徴するのがこのベンチ、このベンチにもたれながら、移り行く雲を眺めていると時の経つのを忘れます。
今回はもう一ヶ所美術館を訪ねました。いわさきちひろ美術館です。
行くまでは何の予備知識も持たず、嫁さんに誘われて云われるままに車を走らせました。
美術館に着いて、作品を一目見て「あ、この絵を描く人か」と納得しました。
絵本や本の挿絵などで、子供の印象的な仕草を叙情的に描く画家です。
初めはただ、可愛いだけの絵を描く人だな、と云う印象でしたが、鑑賞していくうちに認識が全く変わって行きました。
東京空襲に遭い、家を焼かれ大勢の死者を見たのでしょう。その後反戦運動に傾倒して行きます。この人のデッサン力はもの凄い。