食博の歩き方
間取りに気を取られて、なおざりになり勝ちなのが玄関アプローチ。道から家に入る・家から外へ行く間にもドラマがあります。
道路から玄関まで最短距離でアプローチを造るのと、少しでも遠回りして玄関に着くのと何がどう変るのでしょうか?方位や家相だけで家への入り方を決めていませんか?
玄関は来訪者が真っ先に訪れる場所です。人をもてなすと云う事から考えると、来訪者は恐らく緊張感を持って家に入っていくでしょう。まして初めての来訪であれば尚更です。家主のもてなしの一つとしてこの緊張感を少しでも和らげてあげる空間として、アプローチはあるのだと考えます。
道から敷地内に入る直前は、門と門扉が「簡単には入れませんよ」と威厳を持って待ち構えています。最近はオープン外構が流行っていますが、オープン外構でもはじめの一歩を躊躇させる心理的威圧のある工夫を凝らします。それが無ければ「誰でもどうぞ」(ドロボーでも、セールスでも)の家になってしまいます。
画像は敷地の高低差を利用してオープン外構でありながら、ストリップ階段を強調させることによって心理的な圧迫感を与えています。「用の無い方お断り」をデザインした階段です。
この画像は竣工後、間も無い時の画像ですが、今は階段の両側に植木鉢の花と焼き物のオブジェが置かれて、階段を一段一段上がる毎に緊張した気持ちを解きほぐす工夫がなされています。インターホンを押して来訪を告げた客が、一段毎に緊張を解しながら、玄関ドアに着く頃にはリラックスして家主の出向かえを受けることが出来る様になっています。
外出する時はこの逆で、気を抜いたまま外出してはどんな災いが襲うか判りませんので、玄関から道への過程は徐々に緊張を高める工夫を凝らします。
たかがアプローチですが、最短距離が最も合理的なレイアウトで無いことに気付いてください。