プロに任せておけば良いの嘘
日本の様に国土の狭い国で、建ぺい率で建物の大きさを規制するのはどうかと云う議論は古くからあります。
特に都市部住宅密集地域では現行法が殆ど無視され、既存不適格の町並みが形成されている処もまだ多く存在します。
ですので、大阪市内の一部では特例を設け準耐火建築物にする等の条件を付けて、建ペイ率を60%から10%緩和して70%まで建設可能にして、実情に法律が合う様につじつま合わせの様な政策を取っている地域もあります。
さて、ご質問の90%~100%の町並みを想像してみて下さい。
仮に100%建てられたとして、クーラーの室外機は何処に置きますか?自転車は何処に止めますか?物置は要りませんか?植木鉢を置きませんか?物干しはどうしますか?雨樋は付けないのですか?
これらが道路に溢れているのが日本の住宅密集地域です。決して良好な住環境とは云えません。それでも昔ながらのコミュニティーが形成されている地域であれば、「おたがいさま」で譲り合って生活していく事も可能でしょう。
そこでまた想像してみて下さい。
仮に、お隣が引っ越されて空き地が出来ました。見ず知らずの人がその土地を買って敷地目一杯に家を建てました。おまけに多くの窓が質問者さんの家に向いています。クーラーの室外機も越境こそしていませんが、熱風がもろに自分の家の部屋中まで入り込んできます。目一杯建っていますから自分の家の一階は真っ暗になってしまいました。親の代からそう云う生活を続けていればそれが当たり前で相隣問題も発生しないでしょうが、全く面識の無い人に好き勝手に家を建てたのでは文句の一つも云いたくなりませんか?
現行法規では住居系地域の多くは、60%の建ペイ率です。厳しい規制の様ですが60%と云うのはそれ程良好な住環境でもありません。仮に奥行き10mx間口6.3mの土地があったとします。民法で隣地境界線から0.5m離す事が定められています。道路を除いて三法を0.5mづつ控えますと建物を建てられる面積は5.3mx9.5mとなります。63㎡の土地に対し50.35㎡の建物が建つのです。建ペイ率にすれば79.9%です。道路面に対し目一杯建てたとしても民法を守れば、敷地面積が小さいと80%以上は建てる事は難しいのです。
60%の建ペイ率を守るには道路面からもセットバックが必要です。63㎡の60%は37.8㎡です。先の50.35㎡から37.8㎡を引きますと12.55㎡オーバーしています。それを間口で割れば2.37m道路からセットバックすれば合法となります。道路から2.37mセットバックしただけでは玄関ポーチと自転車置き場、それに小さな庭を造ればそれで一杯です。駐車場は造れません。60%でも不満の残る割合かと考える人も大勢います。