人事評価の研修で、キャッチボールの予定が決まった話

「任せてみよう」と決めたのに、数字が出てこない。
材料費や人件費が頭に浮かんで、つい社員に聞いてしまう。
「これ、赤字になったらどうするの?」
建設・住宅・不動産の会社で、新しい仕事を若手や中堅に任せようとしている社長ほど、この不安は自然なものだと思います。
こんにちは^^
ほめ育コンサルタントの道下真介です。
会社を守る責任があるからこそ、確認したくなる。
ただ、その一言のあとに、社員の動きが小さくなったように感じることはありませんか。
今日は、新規事業を会社の力として積み上げるために、任せる側が整えたい順番についてお話しします。
数字が気になるとき、まずやりたくなること
一般的には、予算の上限を決める。
毎月の数字を報告してもらう。
売上の目標と期限を置く。
こうした管理は、新規事業を進めるうえで大切です。
少し前の調査(2013年公表)ですが、日本政策金融公庫の「中小企業の新事業展開に関する調査」では、最近10年間に新事業展開を行った中小企業は43.1%でした。
新しい柱をつくろうとする会社は、決して特別な存在ではないのだと思います。
一方で、数字だけを急いで確認すると、任された社員には「失敗の責任を先に問われている」と届くことがあります。
すると、相談よりも正解探しが増えます。
工夫よりも、失敗しにくい動きを選びたくなるかもしれません。
仕組みだけでは、挑戦する空気まで整いにくい
予算表や報告の場を用意しても、社員が本音を出しにくいままでは、早めの相談が生まれにくい場合があります。
新規事業には、試してみて初めて分かる材料費や、お客様の反応があります。
だからこそ、数字の報告を受ける場が、できたことと次に試すことを一緒に見る時間になっているかが大切です。
奥には、任せる範囲と、支える範囲が言葉になっていないことがあるかもしれません。
社長は「任せた」と思っていても、社員は「どこまでなら試してよいのだろう」と感じている。
そんな認識の違いが、動きを慎重にしている可能性があります。
任せるとは、可能性を先に信じる関わり
建築関係のある会社の研修で、木工の新規事業を任された社員さんにお話ししたことがあります。
そこでは、失敗や赤字への心配を先にぶつけられた経験があるかをたずねました。
社員さんたちは、そのような言葉は言われていないと話してくれました。
そのうえで私は、こうお伝えしました。
「いろいろな社長さんがいます。『赤字になったら、給料を払わなあかんの?』と聞かれてしまうと、やる気は小さくなってしまうものです」
新しいことに取り組む人にとって、これは大きな環境です。
ほめ育では、今ある長所と可能性を先に見つけることを大切にします。
任せることも同じです。
「結果が出たら認める」より先に、「この仕事を任せた理由」を伝える。
たとえば、試作品を何度もつくり直していること。
お客様の声を取り入れようとしていること。
結果の前に、その人が進めている行動と長所を言葉にする。
その積み重ねが、相談できる関係につながるのではないでしょうか。
1年目の使い方を、一緒に考える
これは私の仮説ですが、新規事業は最初の1年で答えを急ぐより、次の一手を増やす期間として捉えることに価値があると感じています。
私自身、病気をして独立したころ、月の売上が3万円という時期がありました。
毎月お金が減っていくなかで、「このままではいけない」と学び始めたことを覚えています。
最初の1年はしんどいものです。
だからこそ、やると決めたなら諦めずに続けてほしいと、研修でもお伝えしました。
研修では、40万円の仮払いがあったら、すぐに使い切るのか、機材や材料に回して次の仕事を育てるのか、という話をしました。
卵をすぐに食べるだけでなく、育てて増えた分を次の卵につなげる。
新規事業も、1年目、2年目の売上だけでなく、10年後に何が会社に残るかを見る視点が役立つと思います。
もちろん、資金の余力や既存事業とのバランスは会社ごとに違います。
だから、期間と予算の線を引くことと、挑戦の過程を見守ることを、両方そろえていくことが大切です。
御社で確認したい3つのポイント
新規事業を任せているなら、次の3つを確かめてみてください。
・社員は、試してよい範囲と予算を自分の言葉で説明できるでしょうか。
・月ごとの報告では、売上だけでなく、分かったことや次の工夫も話せているでしょうか。
・社長は、数字を聞く前に、今回の行動で見えた長所を一つ伝えているでしょうか。
全部を一度に整える必要はありません。
まずは次の報告の場で、「今月、何が一番分かりましたか」と聞いてみてください。
そのあとに、「そこに気づいて動いたことは、会社にとって価値があります」と伝える。
この順番が、社員の自立と、会社の次の柱づくりを支える最初の一歩になるかもしれません。
人材育成や社内教育は、任せる人の可能性を信じながら、会社に合う仕組みを一緒につくることです。
御社の人数、資金の考え方、今ある技術によって、進め方は変わります。
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