「給料を上げないと辞める」と思っている社長が、上げても辞められる理由

道下真介

道下真介

テーマ:ビジネス・職場における”ほめ育”



「うちも上げないと、辞められる」

現在、建設や住宅会社の経営をしている方、そんな風に思ったことはありませんか?


こんにちは。
ほめ育コンサルタントの道下真介です。


最低賃金は、10月から順次、全国平均で1,177円になりますね。

前の年より56円の引き上げで、厚生労働省によると、目安の制度が始まって以来2番目の大きさです。

しかし、材料費は上がったまま。

それでも他社が上げるなら、うちも上げないと職人が離れてしまう。

多くの社長が、この板挟みの中にいるのが現状です。


上げることは正しい。ただ、それだけでは足りない


先にお伝えしておきます。

給料を上げることは、間違いなく定着の土台です。

中小企業庁の「2026年版 中小企業白書」を見ると、
人材の定着率が高い中小企業が取り組んだことの1位は、賃金水準の向上(63.1%)。

2位は休暇の取得推進(61.1%)でした。


ただ、同じ調査で、社内コミュニケーションの活性化に取り組んだ会社も35.6%あります。


定着している会社は、待遇と一緒に、関わりも変えている。

そう読める数字ではないでしょうか。


給料日は、社長には「支払日」、社員には「入金日」


私が研修でよく使う話があります。

同じ給料日でも、社長にとっては支払日、社員にとっては入金日です。

見ている場所が違えば、同じ出来事がまったく別のものに見えます。

これは、賃上げも同じ。

社長にとっては「大きな決断」でも、
社員にとっては「他社と同じ水準になった」だけ、ということが起こります。

上がった瞬間はうれしい。
けれど、3か月もすれば当たり前になる。

そして、次に転職サイトを見たときに「もっと高いところ」が目に入る。

上げても辞められる会社は、ここで止まっています。


辞めない理由と、ここにいたい理由は、別のもの


これは私の仮説ですが、給料は「辞めない理由」にはなっても
「ここにいたい理由」にはなりにくいと感じています。

なぜなら、ここにいたい理由は、もう少し違うところから生まれるから。


「自分の頑張りを、見てくれている人がいる」

「何を頑張れば、次に進めるのかが分かる」


研修で、社員の方に「どうしたら給料が上がりますか」と聞かれて、
社長が答えに詰まる場面を見てきました。

上げたい気持ちはある。

でも、何を頑張ればいいかが本人に見えていない。

すると、頑張りたい人ほど「それなり」に進んでしまう。


私は、自信とは、
自分をほめられる量と、周りからのほめを受け取れる量の総量だと考えています。

その総量が増える職場では、給料が同じでも、人は定着しやすくなる。

順番は、まず関わり。

次に、頑張り方が見えること。

そして、数字です。


賃上げを伝える日に、金額の前に足す一言


まず、自社で確かめてほしいことが3つあります。

・社員に「どうしたら給料が上がるか」を、自分の言葉で説明できるか

・この半年、社員の「結果が出る前の行動」を言葉でほめた回数を思い出せるか

・辞めた人の理由を、待遇以外の面でも振り返ったことがあるか


そして、最初の一歩。


次に賃上げを伝えるとき、金額の前に一言、足してください。

「この一年、○○の場面で、あなたのこういう行動を見ていました」

同じ金額でも、「見ていた」が付くと、受け取り方が変わります。


給料は、上げる数字そのものより、「なぜ上げたか」が伝わったときに、ここにいたい理由になるのです。

上げられる金額は、会社ごとに違います。

けれど、「見ていた」を伝えることは、今日からできます。


このような職場での関わり方については、公式LINEでもお伝えしています。

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参考にした資料

・厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日)

・中小企業庁「2026年版 中小企業白書」第2部 第3章 第2-3-8図

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道下真介
専門家

道下真介(ほめ育コンサルタント)

株式会社Torus

ほめる習慣を組織に根付かせる「ほめ育」コンサルティングを展開。社内のほめる基準となるほめ育コンピテンシーを明確にし、ほめる基準とほめて育てる文化を組織に根付かせ、人材定着や業績向上のサポートをします。

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