社会保険労務士が取り扱うべき法律2
給与支払う場合、労働者へ給与明細書を渡しているかと思いますが、なぜ給与明細書を渡すのでしょうか。どういった事項を記載すればいいのでしょうか。
【給与明細書の交付義務】
所得税法(第231条)では、給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書をその支払いを受けるものに交付しなければならないと定められています。また、労働基準法(通達H10.9.10基発530号)・労働保険の保険料徴収等に関する法律(第32条)・健康保険法(第167条)・厚生年金保険法(第84条)では、控除額を被保険者に通知しなければならない等と規定されています。従って、会社には従業員に給与明細書を交付する義務があり、給与を支払う際には、一定の項目を記載し交付しなければなりません。
【記載事項】
●給与、手当等の種類ごとにその金額
●源泉徴収税額・労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額
●過納額の還付の規定により還付した金額
●口座振込等を行った金額
上記は、法律・通達により記載が義務づけられています。しかしながら、これら以外にも給与の計算根拠となる事項(労働時間や残業時間等)を明示しておく方がトラブル防止対策として良いでしょう。
【交付方法】
●交付を受ける者が承諾すれば、電子情報で交付することも可能
●書面での交付請求があれば必ず書面で交付
【保存期間】
給与明細書の保管は必要ありません(労働者へ渡しましょう)。ただし、給与計算に必要な情報が記載されている書類の保管は必要です。例えば以下のような書類です。
●出勤簿(完結の日(記録した日)から3年間)*助成金等の申請をしている場合は5年
●扶養、保険、配偶者特別控除に関わる書類(法定申告期限から7年)
・賃金台帳(源泉徴収簿)
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書 等
給与明細書は、労働者に必ず交付する必要がある書類です。給与明細書の不発行については、罰則の適用があります。