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鈴木圭史

労務リスクの改善のプロ

鈴木圭史(すずきけいじ)

ドラフト労務管理事務所

コラム

妊娠中は絶対に解雇できない?

よもやま話

2017年3月29日 / 2018年10月5日更新

Q・ある女性社員が部下を日常的に怒鳴りつけるなどパワハラをしています。注意してもやめないので解雇しようと思いましたが、その女性社員が妊娠していることがわかりました。妊娠中は解雇できないと聞きましたが、育児休業から復帰したら解雇できますか??

A・産前産後休業+30日間は解雇できませんが、それ以外の期間は、解雇は不可能ではありません。ただし、解雇の理由が妊娠等ではないことを会社側が証明する必要があります。

妊産婦については、労働基準法と男女雇用機会均等法(以下「均等法」といいます)によって解雇が制限されています。
●『産休期間+30日は解雇できない』
 まず「産前産後休業中の期間およびその後30日間」は解雇できないことになっています。これは労働基準法による強い禁止規定です。会社の経営難でも、労働者に非があって懲戒解雇にできるような場合でも、この期間は解雇が許されません。それほど強い禁止規定です。
 唯一認められるのは、天変地異その他のやむを得ない事由のために事業の継続が不可能になり、その事由について労働基準監督署の認定を受けたときだけです。
●『妊娠中+産後1年の解雇は要注意』
 均等法では、妊娠・出産等を理由として解雇やその他の不利益な取り扱いをすることを禁止しています。
 また、「妊娠中または産後1年」を経過していない女性労働者については、さまざまな理由をつけて解雇することを防ぐため、解雇を原則無効とし、会社側が「妊婦・出産等を理由とする解雇ではない」ことを証明した場合に限り解雇が有効になるとしています。
●『育休等終了から1年以内は原則違法』
 さらに、平成27年に指針が改正され、解雇に限らず、契約の更新をしないとか、減給や降格など不利益な取り扱いについても、その事由の終了から1年以内におこなったものは原則違法と判断されることになりました。妊娠・出産だけでなく育児や介護に関する制度を利用したことを理由とする不利益な取り扱いも対象です。
 たとえば、育児休業を取ったのであれば、育児休業の終了から1年以内におこなった解雇や降格は原則違法。次の例外に該当することを会社側が証明できた場合のみ認められるとしています。

【例外①】業務上の必要性から不利益取扱いをせざるをえず、業務上の必要性が不利益取扱いの影響を上回る特段の事情があるとき
【例外②】本人が同意し、有利な影響が不利な影響を上回り、事業主から適切な説明があるなど、一般的な労働者なら同意するような合理的な理由が客観的に存在するとき

例外②は、育児との両立で大変だろうという配慮から、本人に説明した上で、残業の多い管理職から一時的に降格させるといったケースです。

●『解雇OKとなったケースも』
 冒頭のQ&Aのケースは、例外①に該当するかどうかを検討することになるでしょう。
なお、妊娠中の女性労働者が、ほかの従業員を怒鳴るなどしてたびたび注意を受けていたのに態度を改めず解雇された事案について、一審では解雇無効でしたが、二審で有効と逆転判決が出た裁判例があります。

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