随時改定 年間報酬での平均

鈴木圭史

鈴木圭史

テーマ:法律改正

2018年10月1日より、随時改定について「年間平均額による保険者算定」ができるようになりました。

<随時改定とは>
通常社会保険料は、年1回の定時決定(4~6月の給与により算定)により決定された標準報酬月額が原則1年間使用されます。
しかし、被保険者の報酬が大きく変更(昇給や降給等)された場合、次の定時決定を待たずに標準報酬月額の改定を行います。これを「随時改定」といいます。これは、定時決定後に報酬が変更された場合、翌年の定時決定まで標準報酬月額が変わらないと、実際の報酬に見合わない保険料を支払うこととなり、将来の年金額に影響が出てしまうためです。

<随時改定の条件>
随時改定が行われるのは次の3つの条件を満たした場合で、1つでも該当しなければ届出は必要ありません。
①昇給や降給・賃金体系の変更など、固定的賃金の変動があること
②変動した月以降、引き続き3か月間における支払い基礎日数が各月とも17日以上あること
③変動した月以降の3か月間の報酬の平均額と現在の標準報酬月額に原則2等級以上の差が生じていること

<随時改定の年間平均額による保険者算定>
随時改定による年間平均額における保険者算定の申し立てをするためには、次の4つの条件をすべて満たし、かつ、被保険者の同意を得る必要があります。
①改定前の標準報酬月額と、通常の随時改定による報酬月額との間に2等級以上の差があること
②通常の随時改定による標準報酬月額と、年間平均額による(非固定的賃金を年間平均した)標準報酬月額との間に2等級以上の差があること
③通常の随時改定による標準報酬月額と、年間平均額による標準報酬月額に生じる差が、業務の性質上例年発生することが見込まれること
④現在の標準報酬月額と、年間平均額による標準報酬月額との間に1等級以上の差があること

②について
非固定的賃金とは次のa.bを合算した額により算定した標準報酬月額のことです。
a:固定的賃金の変動月以降3か月間に受けた固定的賃金の平均額
b:固定的賃金の変動前9か月と以降3ヵ月間に受けた非固定的賃金(残業代等)の平均額

③について
例えば、夏季・冬季に繁忙期を迎えるホテル、人事異動や決算により特定の時季が繁忙期となり残業代が増加する総務部などが該当します。

なお、④の条件にのみ該当しなかった場合は、随時改定は行われず、現在の標準報酬月額が適用されます。

<提出書類>
〇通常の月額変更届(備考欄に「年間平均」と記載)
▼(様式1)年間報酬の平均で算定することの申立書(随時改定用)
▼(様式2)被保険者の被保険者報酬月額変更届・保険者算定申立てに係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等(随時改定用)

▼が添付書類として必要となります。年金事務所のホームページから様式のダウンロードが可能です。
 

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鈴木圭史
専門家

鈴木圭史(特定社会保険労務士)

ドラフト労務管理事務所

社労士として20年以上の経験を誇り、労務相談から発展した、労務リスクの回避につながる労務監査を推進。IPOやM&A支援でも実績があります。「船員の働き方改革」に対応する海事代理士業も。

鈴木圭史プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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