満18歳未満の労働者及び女性労働者の就労制限

鈴木圭史

鈴木圭史

テーマ:労働安全衛生法関連

「年少者」(満18歳未満の者)や女性労働者には、発育過程の年少者の健康や福祉の確保等の観点、女性の母体保護等の観点から、働かせてはならない業務(就労制限)があります。

<年少者の制限>
①時間外・休日労働時間、深夜業の制限
②重量物を取扱う業務の制限
③危険有害業務の制限

①時間外・休日労働時間、深夜業の制限
〇時間外・休日労働
時間外・休日労働については禁止されています(管理監督者を除く)。ただし、変形労働時間制(1カ月単位、1年単位)を採用し、以下の条件を満たした場合、時間外労働が可能となります。
・1週間の労働時間が法定労働時間内で、1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合、他の日を10時間まで延長する
・1週48時間、1日8時間の範囲内であること

〇深夜業(22時~翌5時)
原則使用することができませんが、例外として、以下の場合は使用することができます。
・交替制によって使用する満16歳以上の男性
・事業全体として交替制をとっており、労働基準監督署の許可(交替制による深夜業時間延長許可申請書を提出)を受けている場合、30分延長できる
・非常災害の場合
・農林、畜産、水産業、保健衛生業、電話交換の業務

②重量物を取り扱う業務の制限
以下の重量以上のものを取り扱うことができません。*断続作業(継続作業)
○男性
満16歳未満    :15kg以上(継続作業の場合10㎏以上)
満16歳以上満18歳未満 :30kg以上(継続作業の場合20㎏以上)
○女性
満16歳未満    :12kg以上(継続作業の場合8㎏以上)
満16歳以上満18歳未満 :25kg以上(継続作業の場合15㎏以上)
満18歳以上    :30kg以上(継続作業の場合20㎏以上)

③危険有害業務の制限
・坑内作業
・ボイラー取扱業務、クレーン、デリック運転業務
・強烈な騒音を発する場所における業務
・エックス線その他有害放射線にさらされる業務
・多量の高熱(低温)物質を取り扱う業務、著しく暑熱(寒冷)な場所における業務
・身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務
等の業務に就かせてはなりません。

<妊産婦>
「妊産婦」とは、妊娠中の女性(妊婦)及び産後1年を経過していない女性(産婦)のことです。次の①~③について制限があります。
①時間外、休日労働時間、深夜業の制限
②重量物を取り扱う業務の制限
③危険有害業務の制限

①時間外、休日労働時間、深夜業の制限
妊産婦については、請求があった場合、時間外労働・休日労働・深夜業について労働が禁止となります。よって、例え変形労働時間制や裁量労働制を使用していても請求があった場合は、法定労働時間を超えて働かせることはできません(管理監督者を除く)。
管理監督者については、深夜業について請求があった場合のみ、労働させることはできません。

②③重量物を取り扱う業務・危険有害業務の制限
妊婦は申出の有無に関係なくすべての危険有害業務(24業務)が禁止されています。産婦については、禁止業務と申出により禁止となる業務があります。
○申出に関係なく就労禁止
・重量物を取り扱う業務
・有毒ガス等を発散する場所における業務
・身体に著しい振動を与える機会を用いて行う業務
その他の危険有害業務については、申出があった場合、使用してはいけません。

<その他の満18歳以上の女性>
○申出に関係なく就労禁止
・重量物を取り扱う業務
・有毒ガス等を発散する場所における業務
・坑内労働(厚生労働省令で定める業務)

これらの他にも、年少者や女性(特に妊産婦)を雇用している(する)場合について法律で定められていることがあります。法律違反とならないよう注意しましょう。

(2019.1月末現在)

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鈴木圭史
専門家

鈴木圭史(特定社会保険労務士)

ドラフト労務管理事務所

社労士として20年以上の経験を誇り、労務相談から発展した、労務リスクの回避につながる労務監査を推進。IPOやM&A支援でも実績があります。「船員の働き方改革」に対応する海事代理士業も。

鈴木圭史プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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