労働保険徴収法 有期事業の一括改正

鈴木圭史

鈴木圭史

テーマ:法律改正

2018年11月30日に公布された「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則等の一部を改正する省令」が2019年4月1日施行となります。これにより、一括有期事業は、手続きが簡素化されます。
<一括有期事業とは>
建設または立木伐採の事業において、以下一定の要件を満たす2つ以上の小規模の単独有期事業が法律上当然に一括されて、全体が1つの事業とみなされ、各保険年度単位でまとめて保険料の申告・納付手続きを行うことになります。
①事業主が同一
②それぞれの事業が有期事業
③労災保険率表の事業の種類が同一
④事業の規模が該当すること
(概算保険料160万円未満かつ、建設の場合請負金額が1億8000万円未満、立木伐採の場合素材の見込み生産量が1000㎥未満)
⑤それぞれの事業に係る納付事務所が同一
⑥2つ以上の事業が、多少なりとも重複して行われていること

<改正内容>2019.4.1~施行
・一括有期事業に係る地域要件の廃止
・一括有期事業開始届の廃止

〇一括有期事業に係る地域要件の廃止
改正前は地域要件があり、一括できるの対象は事務所の所在する都道府県に隣接する都道府県で行う事業所もしくは厚生労働大臣が指定する都道府県労働局の管理区域に限られていました。しかし、法改正により地域要件が廃止され、2019年4月1日以降遠隔地において行われる有期事業についても一括できることになります。

〇一括有期事業開始届の廃止
改正前は、一括されるそれぞれの事業を開始した時に翌月10日までに「一括有期事業開始届(以下「開始届」とする)」を提出する必要がありました。しかし、法改正により、2019年4月1日以降に開始する一括有期事業については、「開始届」を提出する必要がなくなります。

開始届は廃止となりましたが、「保険関係成立届」や「一括有期事業報告書」等は今まで通り提出が必要です。
その他にも行政手続きコスト20%削減の新たな取り組みとして、特定法人※については、2020年4月1日以降に開始される事業年度から電子申請が義務化される予定です。なお、電子申請が義務になる申告書は、概算保険料申告書、増加概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出金申告書です。(2019年3/1時点)

※①資本金、出資金の額又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人 ②相互会社 ③投資法人 ④特定目的会社

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鈴木圭史
専門家

鈴木圭史(特定社会保険労務士)

ドラフト労務管理事務所

社労士として20年以上の経験を誇り、労務相談から発展した、労務リスクの回避につながる労務監査を推進。IPOやM&A支援でも実績があります。「船員の働き方改革」に対応する海事代理士業も。

鈴木圭史プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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