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コラム

トラック業界の労務管理について

2019年2月5日

テーマ:労働基準法関連

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 労務管理

トラック運転者等の運送業に携わる労働者は、一般労働者と異なる拘束時間の上限や休息時間などの特例が設けられています。

<拘束時間とは>
拘束時間とは、始業から就業までの時間を言い、労働時間(作業時間及び手待ち時間、休日労働時間)と休憩時間(仮眠時間を含む)を合わせた時間のことです。

<拘束時間の限度>
〇1日の拘束時間(1日とは始業時間から起算して24時間)
・原則13時間
拘束時間を延長する場合、最大拘束時間は16時間(1日拘束時間が15時間を超える回数は週2回以内)

〇1か月の拘束時間
・原則293時間
労使協定(36協定)がある場合、1年のうち6回まで320時間まで延長できる(ただし、1年間の拘束時間が3516時間を超えないこと)。

<拘束時間の計算>
〇1日の拘束時間
「始業時間から24時間の間で拘束時間」で計算します。よって、24時間以内に次の始業時間がくる場合、注意が必要です。
例えば、月曜日8時始業~21時終業  火曜日6時始業・22時終業の場合
月曜日の拘束時間は15時間となります。(8時~21時の間+翌6時~8時の間)
火曜日の拘束時間は16時間です。(6時~22時)
*火曜日の6時~8時の時間を月曜及び火曜の両方でカウントすることになります。

〇1か月の拘束時間 
1か月の拘束時間は「始業から終業までの拘束時間」をそのまま合計します。

*1日の拘束時間の合計と1か月の拘束時間の合計は、一致しないことがあります。

<休息、休日について>
〇休息期間
勤務終了後、次の始業までの時間のこと。
・原則:継続して8時間以上
・例外:業務の必要上(交通渋滞等)、勤務の終了後継続した8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には、①②の要件の下「休息期間の分割」が可能になる。
①1日1回あたり、「継続して4時間」以上、始業から24時間の間に「合計10時間以上」休息期間を与える
②一定期間(原則2週間~4週間程度)の全勤務回数の2分の1が限度
*継続して4時間に満たない場合は、「休憩」と判断され、拘束時間に含める必要があります。

〇休日
週に1回以上休日(法定休日)を与えることが義務付けられています。
32時間(休息時間8時間+休日24時間)で「1休日」となる。(2日続けて休暇を与える場合は、2日目は24時間でよい)
*労使協定を締結している場合、休日出勤は2週間に1日まで認められます。

<拘束時間の特例>
1台のトラックに「2人以上運転者」が乗務する場合は、「車両内に身体を伸ばして休息できる設備(ベッド等)がある場合」、拘束時間の延長や休息期間の短縮の特例が認められています。
1日の拘束時間を20時間まで延長、休息期間を4時間まで短縮できます。

<運転時間の限度>
長時間の運転は、注意力の低下や、肉体的・精神的な疲労を蓄積させるため、拘束時間に加えて次の3つの規制が設けられています。
①1日について、「2日(始業から48時間)平均9時間以内」が限度です。(起算日とそ
の前日もしくはその翌日、どちらか一方が平均9時間以内であればよい)
②1週間については、2週間ごとの平均で44時間が限度。特定の日を起算日として2週間
ごとに区切り計算する。
③連続して運転する時間は、「4時間」が限度で、休憩や荷の積卸等「運転しない時間(非運転時間)を30分以上」取入れなければなりません。非運転時間は分けてとることもでき、1回に10分以上、合計30分となれば問題ありません。つまり、「運転時間+非運転時間=4時間30分」のセットで考えます。
(例)・4時間連続で運転し、30分非運転時間を与える
  ・2時間20分運転後に20分非運転時間を与え、その後1時間20分運転後に10分非運転時間を与える等

<残業代>
残業代については、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた部分が支払い対象となります。原則「使用者の指揮命令下に置かれている時間」はすべて労働時間とカウントされるので、荷待ち時間や渋滞の時間も労働時間になります。

自動車の運転業務とそうでない業務を兼務している場合は、主たる業務がどちらなのかで考えましょう。主たる業務が、運転業務の場合は、拘束時間の適用があります。
また、時間外労働において、改正前は、「自動車の運転の業務」は適用除外とされ、延長時間の限度基準はありませんでした。しかし、「働き方改革」により、「自動車の運転の業務」は、2024年4月より残業時間の上限が1年あたり960時間となります。
(2018年11月現在)

この記事を書いたプロ

鈴木圭史

労務相談の専門家

鈴木圭史(ドラフト労務管理事務所)

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