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コラム

自動車運転業務の時間外労働(トラック運送業界)

2018年12月25日

テーマ:法律改正

コラムカテゴリ:法律関連

働き方改革法の成立により、36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)の時間外労働に上限が定められるようになりました(大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から)。今までは、残業時間に法律の上限はありませんでしたが、これを月45時間・年360時間(休日労働は含めない)とし、原則これを超えるものは認められなくなります。
そして、今まで適用除外とされていた、工作物の建設事業や自動車の運転業務にも限度時間が適用されることになります。

<自動車の運転業務とは>
「自動車の運転業務」とは、4輪以上の自動車の運転を主として行う業務をいい、貨物自動車運送事業の事業や一般常用旅客自動車運送事業の業務、その他の自動車の運転業務として、厚生労働省令で定める業務のことです。(バス、トラック、タクシーの運転等が該当します。)

<自動車運転業務の限度時間> 2024年4月より適用
残業時間の上限時間: 1年960時間(月平均80時間)
→将来的には月45時間・年360時間

現状、1か月の拘束時間上限の293時間(延長協定により6か月までは320時間の拘束時間)で36協定届を出されている場合、時間外労働の時間は100時間前後(所定労働時間8時間、休憩1時間で計算した場合)となり、月平均80時間を超えることになります。

<トラック運送業界の長時間労働への対策>
〇社内の対策
自社の労働時間の実態の把握と分析を行いましょう。出退勤・休憩時間の記録をとる等、長時間労働の原因を見つけ対策を考えます。
そして、管理者、配車担当者、ドライバー等に、労働基準法や改善基準告示(自動車運転者
の労働時間の改善のための基準)について教育を行い、理解と協力を得ることが必要となり
ます。

〇社外の対策やお金の対策等
荷待ち時間削減や運賃の交渉があるかと思います。「標準貨物自動車運送約款」の改正(2017.11月施行)により、待機時間料・積込料等を運賃とは別で収受できるようになりました(運輸支局に届出必要)。
また荷主や着荷主との協力が必要ですが、荷役のパレット化、ITを活用したトラック予約受付システム等の導入、荷主側で回収容器の整理等を行ってもらう等、待機時間や積込時間等を削減するための取り組みがあります。

自動車運転業務の労働時間の現状は、平均労働時間が他の職業平均と比べ、約1~2割長く、平均所定労働時間は他職業平均と比較し約2~3倍の長さとなっています。
自動車運転業務は、人手出不足が深刻な業界でもあり、時間外労働の原因の1つでもあります。人手不足の解消のため、募集活動の強化や女性や高齢者が働きやすいよう短時間勤務の整備や、休憩室・男女別の更衣室等の職場環境の改善の対応をしていく必要があるかもしれません。
2024年まで、あと5年しかありません。自社の現状、今後の対応について今から考えていきましょう。
(2018.10月現在の情報をもとに作成しております)

この記事を書いたプロ

鈴木圭史

労務相談の専門家

鈴木圭史(ドラフト労務管理事務所)

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