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外国人雇用の必要手続き注意点

2018年10月20日

テーマ:外国人労働者

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 雇用保険 手続き退職 手続き

外国人の労働者数は5年連続で増加しています。外国人の雇用は、文化の違いやコミュニケーションの取り方など難しい部分はありますが、労働力の確保や海外進出への足掛かりになる等のメリットがあります。
そこで、外国人の雇用にあたり、必要となってくる手続き注意点等を紹介していきたいと思います。

〇雇い入れ時
<在留資格の確認>
外国人を採用する際は、在留資格・在留期間の確認をしましょう。在留カードの「就業制限の有無」の欄に「就労不可」と書かれている場合、原則働かせることはできません。(裏面の「資格外活動許可欄」に許可の記載があれば可能です)
在留期間がきれている外国人や働く許可を受けていない外国人を働かせた場合は「不法就労助長罪」に問われ、事業主も処罰の対象となることがあります。

<雇用契約>
労働条件の明示は、外国人労働者が理解できるよう内容を明らかにした書面交付する必要があります。その際、税金や保険料の控除について等の説明等に努めることとされています。
その他、在留資格の取得や更新ができなかった場合のことも想定し、その場合の対応について文言を入れておくことで、トラブル予防措置にもなります。

<外国人雇用状況報告、雇用保険>
外国人を雇い入れた場合(又は離職の場合)に「外国人雇用状況報告」をハローワークへ届ける必要があります。外国人労働者が雇用保険の被保険者となる場合は、雇用保険の取得(喪失)届(所定の欄に国籍や在留資格等を記載)を提出することで外国人雇用状況の報告を行ったことになります。
雇用保険の被保険者とならない場合は、「外国人雇用状況届出書」の提出が必要となります。
届出を怠ったり、虚偽の届出を行ったりした場合には、30万円以下の罰金が科されます。

<社会保険の取得>
社会保険適用事業所の場合は、外国人に対しても加入を義務づけています。取得手続きの際は「ローマ字氏名届」も併せて提出する必要があります。
ただし、エクスパッツ(海外の本社等から転勤などの理由で日本へ派遣されている外国人)やアメリカ国籍の外国人の場合は、「社会保障協定」について注意が必要です。
社会保障協定とは①「保険料の二重負担(二重加入)を防止」や②「保険料の掛け捨てとならないよう、日本の年金加入期間を協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして通算する」ものです。(国によって②の通算ができない等若干の違いがあります)

<扶養>
外国籍の従業員も生計の維持等の要件を満たせば、海外居住の家族でも被扶養者とすることができます。
ただし、申請において「続柄が証明できる書類」「現状申立書」「扶養される方の収入が証明できる書類」「送金関係書類」(通帳のコピー等)を「健康保険被扶養者(移動)届」に添付する必要があります。
*書類が外国語で作成されている場合は翻訳文も必要です。

〇退職時
<住民税>
住民税は年単位で課税し、6月から翌年の5月まで毎月納付します。なので、この期間の途中に外国人従業員が退職し帰国する場合であっても、住民税は免除になりません。退職時に給与から残額を一括徴収する又は、自分で納付するようよう説明してあげるとよいでしょう。(住民税を未納のまま帰国し、脱退一時金が差し押さえれれたケースもあります)

<社会保険(脱退一時金)>(外国籍の方で日本に住所を有しなくなる場合)
日本で6か月以上年金制度に加入していた場合は、出国後2年以内に請求することにより「脱退一時金」が支給されます。ただし、脱退一時金を受け取った場合、脱退一時金の計算の基礎となった期間は、日本の年金制度に加入していた期間でなくなります。
社会保障協定により、母国の年金加入期間と通算できる場合や、また日本で生活する予定がある場合等、残しておいたほうが良いこともあります。本人に説明をした上で選択を任せましょう。
*年金の受給資格期間が10年以上ある場合は、老齢年金を受け取ることができるので脱退一時金の請求できません
*脱退一時金を算定する際の被保険者期間月数の上限は36か月です

<外国人雇用状況報告・雇用保険>
雇い入れ時と同様に「外国人雇用状況報告」をハローワークへ届け出ましょう。雇用保険の被保険者であった場合は、「雇用保険の喪失届」の提出で「外国人雇用状況報告」が可能です。雇用保険の被保険者でなかった場合は、「外国人雇用状況届出書」を提出します。

<解雇、退職勧奨>
就労の在留資格を持つ外国人が、在留期間が満了するまでに新しい就職先が見つからない場合、就労の在留資格の更新は許可されず、期間満了とともに日本に在留できなくなります。
やむを得ず解雇等を行う場合は、再就職希望者に対して外国人労働者の在留資格に応じた再就職が可能となるよう、必要な配慮が望まれます。

この記事を書いたプロ

鈴木圭史

労務相談の専門家

鈴木圭史(ドラフト労務管理事務所)

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