労災保険料の計算 継続事業のメリット制
労災保険や雇用保険は原則、代表取締役や役員は加入できません。しかし、労災保険には特別加入という仕組みがあり、社長や、自営業者等も業務災害・通勤災害の際、保険の給付が受けられることがあります。
■法人の場合
<要件>
・中小事業主等と認められる企業規模であること。
金融業50人以下、サービス業100人以下等の業種に応じた労働者数が決まっており、2つ以上の事業を行う事業主の場合は、各事業の使用労働者を合わせて判断する。
・労働者を1人以上雇用しており、労働保険に加入させていること(1年間に労働者を使用する日数が100日未満の場合は中小企業事業主としての加入はできませんが、一人親方等の特別加入として加入できることがあります)
・労働保険事務組合に被保険者の雇用保険の届け出や、概算保険料の申告や納付等の労働保険事務の処理を委託していること。
・代表だけでなく、役員(労働者に該当しない者)も一括して特別加入すること
<注意>
・申請書に提出した業務内容・業務時間が給付の対象(株主総会や接待中など社長独自の仕事をしているときの事故は対象外)となり、時間外労働や休日労働中の災害については、労働者がその場にいたことが給付の条件となります。
・2つ以上の事業を行う経営者の場合、それぞれで特別加入の手続きが必要。1つの事業についてのみ特別加入をした場合、加入をしていない事業で災害した場合の給付はありません。
■一人親方・特定作業従事者等の場合(業種に制限有)
<要件>
・常時使用する労働者がいないこと
(労働者がいる場合でも、使用する日が1年間に100日に満たなければ加入対象となります。)
・特別加入団体(新規もしくは既存の組合)に加入すること。
・特別加入団体の親方、その親方の行う事業に従事する家族従業員が特別加入すること。
<注意>
・業務災害と認められるには、加入者ごとに一定の業務を行っていた場合に限られます(業種によって保険給付に該当する業務が異なります)。
・個人タクシー業者、個人貨物運送業者、個人水産業者等、住居と就業場所との間の往復の実態がはっきりしない者においては通勤災害の給付はありません。
<金額>
希望する給付基礎日額(3500~25000円)の範囲で選ぶ
→給付基礎日額をもとに給付金額が給付されます
保険料:給付基礎日額*365*特別加入保険料率=年間保険料
(特別加入保険料率:中小事業主→厚生労働大臣の定める率
一人親方等→事業または作業に応じた一定の率)
特別加入を希望するにあたり、粉じん作業を行う業務(3年以上従事)・鉛業務(6か月以上従事)など一定の業務に一定期間従事したことがある場合は申請を行う際、健康診断を受ける必要があります。(結果によっては特別加入が制限されます)
特別加入の労災保険の承認日は、労働基準監督署へ申出書を提出した日の翌日から30日の範囲内において申請者が加入を希望する日の間であり、遡っての加入(脱退)はできません。事故が起こる前に一度、特別加入の労災保険や民間の保険など業務災害の際の対策を考えておくことも大切なのではないでしょうか。