監理責任者等講習についてその3
監理責任者等講習、労働関係法令についてです。
③労働関係法令について
3-1適用時期
母国(雇用契約・雇用条件書締結)→入国・講習(国民健康保険、国民年金)→技能実習開始(雇用契約雇用条件発行、労働関係法令適用、健康保険又は国民健康、 厚生年金又は国民年金、労災保険と雇用保険適用)→実習・雇用関係終了・出国(雇用関係終了、労度関係法令適用終了、年金・保険適用終了、脱退一時金請求書渡し)
3-2労働基準法
労働条件は労使対等の立場で決定する。労働契約の期間、就業の場所及び従事すべき業務、始業及び終業の時刻(所定労働時間)・休息・休暇、賃金の決定・締め切り及び支払いの時期など明示し(労働条件の明示義務)実習生の母国で契約締結時に交付する。
漁船漁業にかかる事業では、船員手帳が交付されている技能実習生は、船員法上の船員となるため、労働基準法は適用されない。
労働契約法
労働条件について労使対等の立場で合意。使用者は労働者の理解促進を図り契約書を作成する。労働者の生命身体等の安全を配慮し、法令・労働協約に反する就業規則は適用しない。また、技能実習生は期間の定めがある労働契約なのでやむを得ない理由がなければ解雇できない。やむを得ず解雇となった場合は、技能実習機構へ届出が必要。
賃金支払いの5原則
賃金の支払いは、①通貨で、②直接本人に③全額支払を④毎月最低1回以上⑤一定の期日を定めて支払うことが原則。退職時に請求があれば7日以内に支払う。
男女雇用機会均等法
婚姻・妊娠・出産等による不利益禁止等、セクハラ防止対策と事後処置
最低賃金法
最低賃金は都道府県労働局長が決定。通勤手当・家族手当・賞与・時間外割増賃金等は参入しない。
法定労働時間
原則1日8時間、1週間40時間以内。「36協定」を届出で法定労働時間外労働が可能になる。ただし、農業における技能実習生の労働時間は労働基準法の規定に準拠するとしており、法定労働時間を超えた実習時間で技能実習計画認定申請をした場合、その計画に反して残業を行わせた場合は指導を受ける可能性がある。
技能実習生の変形労働時間の注意点
第1号技能実習生の場合、変形労働時間は最長で10~11か月であり、日本人労働者の変形期間と異なる場合があるので注意が必要。実習生だけで作業することのないよう、技能実習生と指導員の休日、始業終業時刻の調整が必要になる。
法定休日・休憩(拘束時間=労働時間+休憩時間)
労働時間が6時間越えなら間に45分、労働時間が8時間越えなら間に1時間以上、
1週間に1日以上休日をもうける。
宿舎を提供している場合は、避難経路の確保、火災報知器・消火器の設置をし、6畳に2人までとし、調理器具や家電製品の使用方法を教える。(寄宿舎規定が適用される)
3-3労働安全衛生法
労働者の労働災害防止を目的としている。機械による危険防止、爆発火災の防止、等の労働安全衛生規則、ゴンドラ安全規則やボイラー及び圧力容器安全規則などを設けており、衛生管理者・産業医(常時50人以上の労働者を使用する職場)や安全管理者を(建設業・製造業などの事業場で50人以上の労働者を使用する場合)選任しなければならない等。
3-4各種保険
労災保険(労働災害(3日間は事業主負担、4日目より労災保険)・通勤災害の保証。技能実習生は加入義務)
雇用保険(失業に対する補償、強制適用(個人農業5人未満は任意))
健康保険(労災保険対象を除く事故・疾病の治療費等。3割自己負担)、厚生年金(老齢だけでなく遺族・障害年金も含む)等
次回は
④監理団体としての職務遂行上の留意点について
⑤個人情報の保護の取り扱いに係る技能実習法の遵守と公平な採用選考の推進についてです。
当事務所代表は管理責任者等講習を受講しております。
監理事業を行われている方、これから始めようとされている方もぜひお気軽にご相談ください。