社長、遺言書を書く前に 会社の借金と社長の保証はどうなりますか?

上原輝夫

上原輝夫

テーマ:遺言書で社長人生の総仕上げ

家族経営の会社では、「自社株を誰に渡すか」「会社を誰に継がせるか」という相談が数多くあります。しかし、実際には株式や事業承継よりも、先に確認しておくべき「重要な問題」があります。

それは会社の借金と社長個人の保証です。実は、会社を引継ぐうえで一番困るのは、相続の問題ではなく「借金や保証の問題」だったというケースも少なくありません。今回は社長さん向けの話になります。





「自分が保証人になっているか」を確認しましょう

会社の借入金について、「借金は会社のものだから大丈夫」と思われる社長さんもいらっしゃいます。

しかし、多くの中小企業では銀行から融資を受ける際に、社長個人が保証人になっているケースが殆どです。つまり、会社の借金であっても、社長自身が責任を負っているのが実態です。

ところが長年経営していると「どこの銀行から借りているのか」「借入残高はいくらなのか」
「自分がどの借入の保証人になっているのか」意外と整理できていないことがあります。

先ずは借入一覧表や契約書を見直してみましょう。事業承継の第一歩は、会社の現状を正しく知ることです。


社長が亡くなったら銀行はどう考える?

社長に万一のことがあった場合、銀行が最も気にするのは「この会社は今後も続いていけるのか」という点です。

会社の業績が安定し、後継者も決まっているのであれば、大きな混乱になはなりません。しかし、「後継者が決まっていない」「経営を誰が引継ぐのか不明」「借入金の返済が心配」という状態だと、銀行も不安になります。

そのため、社長が亡くなった後は、ご家族だけで話し合えば済む問題ではなく、銀行との交渉も必要になります。「自分が元気なうちに後継者を決めておく」これは会社を守るためにも、とても大切な準備です。

保証人

後継者は保証人になる?

ここが事業承継で一番悩ましいところです。例えば息子さんや娘さんが会社を継ぐ場合、会社だけでなく、借金に関する責任も引継ぐ可能性があります。

後継者の立場からすると、「経営はやってみたいけれど、個人の保証までは不安」と思うのも当然です。
実際に、
・家族から反対される
・将来が心配になる
・責任が重すぎると感じる
という声もよくあります。

事業承継とは、単に社長の椅子を譲ることではありません。会社の責任も含めて引継ぐことです。だからこそ、後継者には早い段階から会社の状況を説明しておくことが大切です。


遺言書だけでは解決できません

「遺言書を書けば安心ですよね?」と聞かれることがあります。確かに遺言書は重要です。
例えば、
・自社株を誰に渡すか
・不動産を誰に相続させるか
・預貯金をどう分けるか
こうしたことは遺言書で決められます。

しかし、「会社の借金」「銀行との契約」「保証人の問題」「後継者の負担」までは、遺言書だけで解決できません。

言い換えれば、遺言書は「財産を残す準備」ですが、事業承継は「会社を残す準備」です。
この二つは似ているようで、実は別の問題です。


まとめ
遺言書を作ることはとても大切です。
しかし、家族経営の会社では、それだけでは十分とはいえません。
まずは次の4つを確認してみましょう。
・ 会社の借入はいくらあるか
・社長が保証人になっている借入はあるか
・後継者は決まっているか
・銀行と今後の話ができているか

これらを整理してから遺言書を作ることで、より実効性の高い事業承継対策になります。
社長が築いてきた会社を次の世代へ安心して引き継ぐために。遺言書を書く前に、ぜひ一度「会社の借金と保証」の確認から始めてみてください。それが、ご家族と会社を守る大切な一歩になります。





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上原輝夫(経営・生き方・終活カウンセラー/行政書士)

行政書士ヒューマンサポートオフィス

資格と前職での経験、これまでの実績を最大限に活かし、「会社と家族の相談相手」として、経営・メンタルケア・終活を応援、サポートします。お客さまにとって何でも話せる気軽で身近な相談相手を目指しています。

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