「経営理念」と「企業理念」
「立派な理念」なのに、誰も覚えていない?
企業理念を策定するとき、経営者の思いを一つひとつ言葉にしていくと、どうしても文章が長くなりがちです。
「これも大切」「これも伝えたい」と考えているうちに、さまざまな思いが盛り込まれ、完成した理念はとても立派なものになります。
ところが、従業員に聞いてみると、
「……すみません、正確には覚えていません」
ということもあります。
理念は暗記テストのために作るものではありません。しかし、覚えていない言葉は、仕事の中で思い出されることもありません。
理念は「額縁に飾る言葉」ではない
企業理念は、経営者の思いを表すだけのものではありません。お客様や取引先、地域社会など、さまざまなステークホルダーに対する会社からのメッセージでもあります。
その中でも、特に大切なのが従業員への浸透です。
日々の仕事の中で、
「この判断は、会社が大切にしていることに沿っているだろうか」
「お客様から難しい要望を受けたとき、どう対応するか」
と迷ったときに、理念を思い出すことができれば、理念は単なる飾りではなく、仕事のよりどころになります。
「覚えやすい」ことも理念の大切な条件
では、どのような理念なら従業員に浸透しやすいのでしょうか。
「短ければ良い」という単純な話ではありません。
「覚えやすい」「意味が理解しやすい」「共感できる」「口にしやすい」「自分の仕事と結びつけやすい」。
こうした要素があれば、理念は少しずつ日常の中に入り込んでいきます。
朝礼などで自然に口にできる。仕事で迷ったときに思い出せる。従業員同士の会話の中で使える。
そんな状態になってこそ、理念は「掲げた言葉」から「会社で使われる言葉」へと変わっていきます。
経営者が伝えたい言葉から、社員が使える言葉へ
理念策定では、どうしても「経営者が何を伝えたいか」が中心になります。それは当然のことです。
しかし、理念は経営者だけのための言葉ではありません。
経営者が伝えたい言葉であると同時に、従業員が受け取り、理解し、行動につなげる言葉でもあります。
だからこそ、完成した理念を見直すときには、
「この言葉で、会社の思いは十分に伝わっているか」だけでなく、
「従業員は、この言葉を覚えられるだろうか」
「共感できるだろうか」
「日々の仕事で使えるだろうか」
という視点も大切です。
理念は、覚えるための言葉ではありませんが、覚えていなければ、使うこともできません。
理念を策定するときには、どれだけ立派な言葉にするかだけでなく、従業員が日常の中で思い出し、口にし、行動につなげられる言葉になっているかを考えてみることも大切なのではないでしょうか。
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