江戸時代の家相学は現代住宅にそぐわない

小橋広市

小橋広市

テーマ:住環境習慣コンディショニング

一昔前、テレビで「風水」が流行ったことがあります。一級建築士ドクター◯◯さんをお茶の間で見かけた方も多いのではないでしょうか。確か、この方がブームの火付け役だったように思います。

京都でも外壁を黄色に塗り替えている住宅がありました。先日、久しぶりに近くを通ってみると黄色からグレーっぽい色に塗り替えられていました。

イエツムリ

ところで、あなたは家相を気にしますか?

過去にこんなことがありました。設計が終わり、建築確認申請がおりたところで突然、家相学の先生とやらが出てきて「この間取りはとんでもない!」などと言って計画がストップすることがありました。

もちろん、責任がないので言いっ放しです。家相の先生は、家族の将来のことも予算のことも頭にないので、自分が言ったことがすべて正しいと言わんばかりに計画をかき混ぜてくれます。

家相の先生は図面を見てこのように言います。「建物の表鬼門(北東)、裏鬼門(南西)は家相でいうと凶に当たる場所に水廻り(トイレ・浴室)があるじゃないか。こんな非常識な間取りはない!」とこんな感じです。

これには家相学なりの理由があります。建物の北東に位置するところは、日当たりが悪く、湿気が多いので建物の老化を早めてしまうし、南西は日当たりが良すぎて夏は物が腐りやすい。そんなところへ水廻りはタブーだということです。

ところが、今は換気扇もあり気密性も断熱性も高くなり、ほとんどのトイレは水洗になっています。昔と今では、条件も環境も変わっています。

このような家相学が普及したのは江戸時代で、武家屋敷や豪商の屋敷を建てる際に使われた家相学は、今で言うと建築基準法のようなもので建てる時の決まりごとだったようです。

日本は世界の中で最も厳しい建築基準法があります。この法律が制定されたのは1950年のことで当時の生活習慣や環境、建築様式に照らして、家を建てる時には家相学に基くような暗黙の了解があったのでしょう。

家相学は、中国風水が基になり、日本で使いやすいように改変されているので、学者によって微妙に診方が異なることがあります。とは言え、風水も占いブームに押され一般の方に受け入れられやすい占い的になってきているのも事実。

家相学では、裏鬼門(南西)には南天を植えると良いと言いますが、南天→難転という語呂合わせのような迷信的なところもあります。

このように家相学は、建築基準法の基本になる理にかなった部分があるだけでなく、昔の日本の風土にあった家を建てる先人の知恵とも言えるのかも知れません。ただ、何事もほどほどがよろしいのではないでしょうか。


建築風水と家相学を混同する方も多いようです。本来、風水は大地の気脈を読む学問で、環境工学、都市工学、建築学に、地理学、天文学、地政学などに基づいていると言われています。

結論として、江戸時代の環境や建物を基準とした家相学は、今の建築様式にはそぐわないし家相学では建物の設計できません。一方、建築風水は科学に基づいた学問なので現代の建物にも建築風水の考え方が入っています。

もし、建築途中で家相で良くないと言われた時は、私に相談して下さい。


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あなたにも気付きがありますように



下記に参考になる記事のリンクを貼っておきます。

「聴くのがコーチの役割りと勘違いしていない?」
訴訟問題になる可能性



【小さな実践】
家相学の先生では建物の設計はできない、すなわち既に現存している建物しか診れないということ。


 

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