認知症介護は自から他へ
「遠距離認知症介護者の日記」のテーマの記事は、お袋が認知症になった初期の頃を記録として残すためにアップしています。
ここから2014年12月9日の話
倉敷の実家から京都に帰ってきた。やはり、実家より自宅が落ち着く。今回は特に。
今回、帰郷して感じたのは、お袋の症状に少し変化があるような気がする。先日から アルツハイマー型認知症治療剤のレミニールOD錠を、強い12mgにしたところ、お袋の認知症の状態が、少し前の段階に戻ったような気がする。
これまでは、何となく無気力な感じだったのが、お金に執着するようになる前の段階に戻っている。お金に執着している頃には、随分悩まされたので、お袋の一挙手一投足がハッキリと頭に残っている。
同じ轍を踏まないと言いたいが、再三、お金のことを細かく疑われると嬉しいものではない。 しかし、今回は新たな発見もあった。
お袋に「今、来ているヘルパーさんの中で苦手な人はいる?」と聞いてみた。
するとお袋は「いる、ちょっと体格がいい人が苦手じゃ」「その人のどんなところが苦手?」「わからん、何となくすかん」とお袋はこんなことを愚痴った。
後でヘルパーさんの上司に、お袋の苦手なヘルパーさんの特徴を聴いてみると、声が大きくて早口でまくし立てるように話す女性らしい。認知症の人は、大きな声でまくし立てられると怒られているように感じ、萎縮する傾向がある。
もう一つ、新たな発見。お袋が薬を服用する際、ヘルパーさんの手のひらに直接薬を出し、それを少しずつもらって飲んでいるらしいのです。お袋はそのやり方が大嫌いらしい。
何故かと聴いてみると、「私は一人でも、喉に引っ掛からないように少しずつ飲めるのに絶対に薬を渡してくれない」
私はてっきり、自分でできるのにさせてもらえないから嫌なんだと思っていたが、もう少し掘り下げて聴いてみると、男性のヘルパーさんが同じように薬を手のひらに出し、それを摘んで少しずつ飲ませてくれることが分かった。
その男性のヘルパーさんに不潔感を感じていることが分かった。
何故、不潔感を感じるのかもう少し聴いてみると、お袋が会社員だった頃、同僚の男性がトイレに行っても手を洗わない人だったらしく、その同僚が持ったものは触りたくないくらい嫌だったそうだ。
原因が分かった。改めてお袋に聴いてみると「男の手は洗っても汚い!」と言い捨てた。お袋は男性のヘルパーさんに、手を洗わない会社の同僚を重ねて観ていたので嫌悪感があったのだろう。
このように認知症の人の言葉や行動には、ちゃんとした理由がある。 例え、日常生活がままならなくなっても尊厳を奪うような言葉や行為は、認知症の進行を早めるかも知れないと思った。
ここから現在
認知症の人に限らず、怒ったり、嫌がったり、感情が動くのには必ず原因があるはずです。それは現状の中にあるとは限りません。過去のトラウマやブロックに原因があることもあります。
このようなことは認知症の人に限らず、私たちだって同じです。自分自身でさえ、気づかないことが多く、とかく辛いことや悲しいことにはフタをして忘れたように思うけど、何かきっかけでフタをこじ開けて噴出するのです。
認知症になっても、感情だけは最後まで残ると言います。考えてみると当たり前のことで、人類の進化の過程で最初にできた爬虫類脳の中に自己防衛本能を司る箇所がありますからね。
あなたにも気付きがありますように
【小さな実践】
親のトラウマやブロックを引き出すには、過去に自分が親からひどく叱られたことを思い出し、叱られた原因の中に親のトラウマがあることが多い