出口が見えない認知症のトンネル入った日
お袋が特養に入り、この数年間の
遠距離介護を振り返ってみると、
介護鬱は個々で症状も違うし
環境によって状況も違います。
他者に「よくやっているね」と
言われたい気持ちとは裏腹に
そう言われても、
「他人には分かるはずがない」
という気持ちが錯綜していました。
当の本人にとっても
世話をしてもらうことの
本心は分かりません。
「味が薄い」とか
「これはいらん」とか言われると、
最初は美味しく食べてもらおうと努力しますが、
徐々にちょっとしたことでイライラしてきます。
言葉を交わしても
同じことの繰り返しなので、
会話もめっきり減ってゆきます。
理屈では解っているんです。
認知症はこうなんだって
頭で解っていても、
心が向き合おうとしないのです。
やがて私自身が、自分の
気持ちの置き場所を探して
自問自答します。
「今、ちゃんとやっておかないと
必ず後できっと後悔する」
「コーチでありながら、
自分の親を和ますこともできないのか」
「100%できなくてもいいからやれ」
こうしてどんどん、
自分を追い込んでいって
逃げ道を探すために自分を悲劇の
ヒロインに祭り上げます。
幸い、私は一杯いっぱいになる前に
距離をおくことができましたが、
それもできず、家族から、
「お前は努力が足りない」と責められ、
板挟み状態になっている方も
多いのではないでしょうか。
自分一人で背負わなくても
他者に委ねればよいと言いましたが、
一杯いっぱいになってからでは
負のスパイラルから抜け出すのは
容易ではありません。
鬱状態になってからでは
気持ちを切り替える努力をしても、
「現状から逃げてしまった」などと
自己否定が襲ってきます。
その繰り返しです。
認知症の介護は、
「この経験を踏まえて次はちゃんとしよう」
と思っても、症状は刻々と変わるので
日々、対応していくしかないのです。
認知症のお袋を憎いと思うのも
可愛いと思うのも紙一重の感情です。
認知症介護をしているあなたに
お伝えするとしたら、
失敗しても、挫折しても、逃げても、
止まったり進んだりしながら、
向き合おうとする気持ちさえ保っていれば
その積み重ねの経験は、形を変えて
あなたを助けてくれるはずです。
出口のないトンネルはありません。
認知症の介護の経験は、
コーチとしてやっていく上で
コミュニケーションの根っこを
教えてくれたような気がします。
認知症の介護は
「笑って楽しんで1/2介護」でやりましょう。
【小さな実践】
認知症介護の配分は、介護を半分、
自分が楽しめることを半分にして
ココロのバランスをとる