足の痛みと履きたいデザインの狭間に揺れる女性の気持ち・・・
「整形外科で足を診てもらったら強剛母指と診断され、靴屋さんを紹介してくれたので靴を作って貰ったのですが、デザインがお洒落じゃないので、お宅でドレスシューズを作って貰いたいのですが・・・。」と男性からお電話でのお問い合わせがありました。
強剛母指とは、足の親指の関節に骨棘(こつきょく)が形成され、関節を動かすと強い痛みを伴うというやっかいな障害です。
通常は母指関節に負担が掛からないように、地面を蹴り出す時の親指が伸びたままでいられるような特殊なサポートを加工します。
従って足先に負担を掛けないつま先の広い靴を提供するのですが、そのデザインがお洒落ではないという不満がおありなのでしょう・・・。
「見た目にドレスアップした靴は、おのずと足に負担を掛けるデザインになってしまいます。その靴が原因で強剛母指の痛みが再発したら、泣くに泣けない事態になりますよ。」と私。
「デザインと足の健康を守る事が両立した靴は出来ないのですか?」と男性。
「現実には難しいでしょうね・・・。デザインが気に入ったとしても、足が痛ければ履かない靴が増えるだけですから・・・。」と私。
「そうですか・・・。」と男性。
お電話での受け答えですし、実際にその方の足の状態を詳しく把握する事が出来ませんので、より慎重な言い回しになってしまいますが、無責任に過度な期待を煽るのは避けなければなりません。
靴と足の関係に精通すればするほど、デザインと機能の相反する要求には「足の健康」に軸を置いたスタンスこそが良い結果をもたらす事になると分かっているからです。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/