足と靴の川柳
「足のカウンセリング」のご予約をいただいていた御婦人がご来店されました。
履いていたのは、結構なヒール高のネックベルトパンプスでした。
「それでは、足のカウンセリングを始めますので、こちらの足のデータファイルにお分かりになる所だけご記入をお願いします。」といつもの様にご案内しました。
すると、御婦人はボールペンを置いたまま、データファイルをじっと眺めていました。
「記入したくないんですが・・・。」とポツリと仰る御婦人。
「そうですか・・・。では、足のカウンセリングを始めてよろしいのでしょうか?」と私。
「カウンセリングって、どんな事をするんですか?」と御婦人。
「はい、足の痛みの原因を調べて、痛みを軽減するためのサポートをご提案するのですが・・・。」と私。
「足を測ったりするんですよね・・・。」と御婦人。
「勿論それもありますが、足周りの筋力の低下や荷重のバランス、足の骨格の歪み等を調べて、痛みの原因を明らかにすることが一番の目的です。」と私。
「靴はこちらに置いてある靴になるんですか?」と御婦人。
「そうですね。私共のオリジナルの健康靴を中心として、足のカウンセリングの結果に基づき、適切な履物をご提案します。」と私。
「気に入った靴がない場合は、デザインも作ってもらえるのでしょうか?」と御婦人。
「と、言われますと、どのようなデザインがご希望なのでしょうか?」と私。
「ここに置いてある靴は婦人物なんですか?」と御婦人。
「はい、8割方婦人靴ですが・・・。」と私。
「どれも男性の靴のように見えるんですが・・・。」と御婦人。
ここまでのやりとりで、私にはすでに御婦人の言いたい事がほとんど分かりました。
靴が気に入らないのです。ご自分の履きたい靴のデザインは、もっと女性らしいエレガントな靴ということなのでしょう・・・。
「申し訳ありませんが、足のカウンセリングのご予約をされたのは、どういう経緯からなのでしょうか?」と尋ねる私。
「それは足に良い靴を選んでもらおうと思ったから・・・。」と御婦人。
「現在、足の悩みは何かお持ちなんでしょうか?」と質問する私。
「外反母趾で困っています・・・。」と御婦人。
「ということは、このような靴をお勧めすることになるかもしれません。」と言って、健康靴の中で最も女性らしいデザインの靴をお見せしました。
「デザインをオーダーする事は出来ないのですか?」と御婦人。
「申し訳ありませんが、デザインのオーダーは基本的にはお受けできません。但し、靴の機能的な部分での変更や特殊なサイズなどのオーダーや革の組み合わせ等は可能です。」と私。
「私の指定したデザインや選んだ革で、足に合った靴を作る訳ではないんですね・・・。」と御婦人。
「いわゆるオーダーパンプスやオーダーシューズといったデザインのオーダーが基本ではありませんので・・・。」と私。
「分かりました。私が勘違いしていたようです・・・。」と御婦人。
席を立ち、あっと言う間に出て行かれました。
やはり、パンプスをオーダーするお店と勘違いされていたようです。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/