足の痛みと履きたいデザインの狭間に揺れる女性の気持ち・・・
「今までずっとヒールの高いパンプスしか履いてこなかったの・・・。」と言われる80歳前半の御婦人。
「今日は雨が降るかもしれないから、こんな靴を履いているけど、普段は履かないのよ・・・。」と言われます。
この御婦人が履いてきていたのは、某有名メーカーのウォーキングシューズでした。
「外反母趾なんてずっと他人事のように思っていたけど、自分が外反母趾と言われてびっくりしたわ・・・。」と御婦人。
「そうでしたか・・・。」と私。
「でも、どうして外反母趾になったりするの? 整形外科の先生は、すぐに靴を替えなさいと言うんだけどね・・・。」と御婦人。
「それは、奥様が大好きでいつも履いているパンプスが、足の指先を閉じ込め続けて足の筋力を奪う結果となり、体重の負荷で骨格を歪めてしまったからなんです。ですから、お医者さんは靴を替えなさいとおっしゃったんです・・・。」と説明する私。
「へえ~、そうなの?」と御婦人。
「足の指先は足首を支えるために地面をバランスよく掴む必要があるのですが、つま先の細い靴でその機能を閉じ込めた結果、使われなくなった筋肉が衰えてしまったんですよ・・・。」と私。
「へえ~、そんな事初めて聞いたわ・・・。」と御婦人。
「足のカウンセリング」の結果、この御婦人はO脚と骨盤の歪みもありました。
どうりで外反母趾もさることながら、足の小指の内反小趾も強い訳です・・・。
そこで、足の縦アーチと横アーチのサポートに加え、O脚のサポートと骨盤の歪みに対するサポートを組み込んだテストシューズを仕立てました。
早速、履いて歩いて頂きました。
「あら、思ってたよりもずっと履き良いのねえ・・・。こんなに違うものなのかしら・・・。」と御婦人。
「足がしっかり安定すると、体全体でバランスを立て直す必要が無くなって、自然に体が安定するので楽になるでしょ?」と私。
「そうねえ・・・。何だか足腰が急に軽くなった気がする・・・。」と御婦人。
「軽いとか、柔らかいとか、脱ぎ履きが楽な靴が足に優しい靴だと思い込んでいる方が多いようですが、それは間違いなんですよ・・・。」と私。
「だって、誰もそんな事を言ってくれないじゃないの・・・。」と御婦人。
「確かにそうですよね・・・。でも、軽くて柔らかくて脱ぎ履きが楽だと宣伝すると、靴が売れてしまう風潮があるのも確かなんです。そこを見直さないとねえ・・・。」と私。
こうして、今までパンプスしか履かなかったという御婦人に、健康靴をお作りする事になりました。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/