安全靴で外反母趾や内反小指になる?
最近、立て続けに同じようなご相談を承りましたので、そのお話を・・・。
「ちょっと靴を見せて下さいな。」と言われてご来店された御婦人。
暫くの間、無言で様々な靴を手にとっては眺めていらっしゃいます。
「何か靴が合わないとか、足が痛いとかの問題を感じていらっしゃいますか?」と私がお尋ねすると、
ゴソゴソと手提げ袋から靴を取り出して、「〇〇〇〇でこの靴を買ったのだけど足に合わないみたいなの・・・」と言われました。
差し出された靴は、いわゆる有名ブランドのウォーキングシューズです。しかしながら横幅が広い割りに、つま先が薄くスリムなデザインの靴でした。
また、靴底も合成樹脂系のソフトなものでした。
「なるほど、この靴は履いた瞬間の足ざわりの良さや、目が喜ぶようにデザインが工夫されたウォーキングシューズなので、長時間履いていると、つま先や指の付け根が痛くなるかもしれませんね。」と私。
「でも、ちゃんと足を測ったり、立ったバランスだとかを調べて、足に良いということで選んでもらった靴なのよ!」と御婦人。
さて、ここからが難しいところです。
他店で足を調べて靴を選んでもらったという事に対して、足に合わないという現実が、その方の靴に対する不信感を増幅させているわけですが、第3者である私に判断を仰いでいるのか、アドバイスを求めているのか、それとも・・・。
「私から見ると、つま先がスリムすぎて足に合っていないと思われるのですが、ご自身ではどう思われますか?」と質問させていただきました。
「そうかしら?、今まで履いていた靴よりはずっとゆったりしているけど・・・」と御婦人。
「では、足に合っていないと感じている点は、どこでしょうか?」と私が質問すると、
「それが分からないから調べてもらいたいのよ!」と、少し苛立った感じの口調が返ってきました。
「私どもでは、まず『足のカウンセリング』をさせていただいて、靴が足に合わない、足が痛いなどの原因を調べます。その上で、足のトラブルをサポートする靴を調整加工してご提供しているのですが・・・。」と私。
「それはそれとして、この靴が足に合わない原因を知りたいのよ。」と御婦人。
「それも含めて、まず足の方を調べさせていただかないと、確実なことは分かりません」と私。
「じゃあ、調べてもらおうかしら・・・」と御婦人。
こうして「足のカウンセリング」が始まりました。
結論から言うと、この方は骨盤が右に傾いていて、その上、右足首が体の外側に倒れこんでいます。骨盤の歪みの影響で体が右に傾きやすく、右足首が外側に倒れ込んでいるのと相まって、右足の外くるぶしに負担が集中しています。
「右足の膝の内側が痛かったりしませんでしたか? 右足の外くるぶしが靴の履き口に当たって痛くなった事はありませんか? 右足の小指の付け根の下にタコが出来ていますね。」と次々に指摘していき、
「残念ながら、お持ち頂いたこの靴では、右の外側に荷重が掛かる右足を含めて、足と足首をしっかり支えることはできません。」と私。
「そんなこと、前の靴屋では言われなかったわよ・・・」と御婦人。
「それは、一般の靴屋さんでは判断に限界があるし、無理なことだと思いますよ。」と私。
結局、お持ち頂いた購入したばかりの靴は諦めて、当相談室のオリジナル健康靴に調整加工をして履いて頂くことになりました。
「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/