前略 墓の中から 第1章 約束が違う!さだ子の嘆き その3
「いわゆるお寺でお墓というものは、身内がいてもお参りに来てくれないと汚れるんだな。お寺の護持会費ってあるけどお墓の管理じゃないようだ。
霊園も管理費ってあるけれど花を抜き取る程度までだし。」
掃除という視点からお墓を探すと従来型のお墓は厳しいものがあるようだ。
掃除、管理費というものがもう一つのテーマであり、子供に迷惑をかけたくないという部分でどうしてもひっかかる。
団塊の世代の方たちは、日本の経済発展とともに、その発展を作り上げてきたという自信からか若い者には任せておけないという気持ちも強いようである。
その気持ちの裏返しが迷惑をかけたくないという部分にも出ているのかもしれません。
墓地訪問を繰り返す中でどうやらロッカー式の永代供養の施設があるらしい。というところに行きつきました。
「この永代供養の設備はこの設備そのものが一つのお墓です。普段こうして中に入ることはあまりなく、外の参拝スペースをご利用いただきます。
共有のスペースなので私共も清掃などはいたしますが、お参りに来る方それぞれが気にかけてくれておりいつもきれいな状態なんですよ。」
営業の担当者がいうことにうなずき、周りを見渡すと確かによく行き届いている。
「うちはあまりお参り来てくれないと思うけど、いつもこの状態が維持されているならいいですね。
ご遺骨は骨壺のまま何年保管されるのですか?」
「当施設は33年間お預かりして、その後、合葬合祀スペースに移動しますがこの裏、つまり設備とはほぼ離れない場所で、それ以降もお参りの来る方とは向き合った位置になりますよ」
「思ったより長くしっかり供養してくれるんですね。まだできたばかりでも人気があるわけですね」
ヒロシの思いに近い供養墓が見つかり、そこで契約に至り、その6年後なくなりそして納骨される当日。
(ここからはヒロシのご遺骨の声)
「いよいよこだわって探したこのお墓に俺も納骨されちゃうんだな~、決めてからはずっと来ていなかったけどおそらく変わらずきれいにしてくれているんだろうな~」
続く