医師・医療従事者の信頼に直結する「身だしなみ」徹底の大切さ

谷澤優花

谷澤優花

テーマ:患者の心をつかむ!医療接遇マナー

時代と共に様変わりしている医療現場の服装


医療現場での医療人・医療従事者の服装は昨今様変わりしているといえるでしょう。
一番目に見えて変わったことといえば、看護帽(ナースキャップ)を着用する病院が少なくなったことではないでしょうか?
戴帽式で医療に携わる学生一人一人に与えられるナースキャップ。キャンドルの明かりの中で、ナイチンゲールの宣誓を朗読し、命と向き合う責任と自覚を誓う厳粛な儀式は、崇高な空間の中で忘れられない感動として、看護師を目指す人の心にいつまでも残っていることと思います。「博愛・責任・清潔」を表したこのナースキャップも、現代の医療の現場では、院内感染や業務上病室の仕切りカーテン・点滴のラインに引っ掛かる、患者介助の際に邪魔になるなどの点から、廃止する傾向となりました。また、これまで女性の職場のイメージが強かった看護の職場に、男性の看護師が増えたことも一因でしょう。女性だけでは難しく大変であった作業や業務、介助が男性看護師の存在で劇的に変わったといえます。
少しテーマとは話がそれますが…
私自身、患者として手術後、少しずつ戻る意識の中で、個室ベッドに移動させる際の女性看護師の方4人が「1,2,3!」と掛け声をかけて、動かない私の体をベッドに移動させてくれた場面や様子は、今も記憶に残っています。女性の看護師の方ばかりで、どれほど大変であろう…「重たいのに、ごめんなさい。」と、ぼやっとした記憶と少しずつ戻ってきた感覚の中で感じた感情であったと思います。(術後であっても患者は、声にはならない有難い気持ちとお世話になっていることへの感謝の念をもっています。少しでもこの一患者の気持ちが伝われば、幸いです。) 
今は、男性看護師の方が様々な面でリーダーシップや男性ならではの適性を活かしつつ、活躍されています。とても有難いことです。その男性看護師、医療従事者の方が増えたことでも、ナースキャップだけでなく、白衣もスタイルチェンジしてきました。今では、ナースウェアーではなく、スクラブタイプ・ケーシータイプ、ツーピースと様々なスタイルで機能性が重視されています。ナース服と呼ばれた、ワンピースタイプは、ナースキャップと一緒に着用することで、女性看護師(看護婦)の象徴のスタイルであったと思います。
幼稚園や保育所のお遊戯会での「将来の夢」の発表では、かわいい子ども達が小さな看護婦さんになりきっている姿をみるにつけ、(白いワンピーススタイルに先生お手製のナースキャップをつけて)女の子の憧れの職業なんだと、ほほえましく思ったものです。ですが、もしかすると…これからの子ども達の目にする看護師のイメージも様変わりしていくのでしょう。そう思うと、戴帽式の感動、子ども達の憧れ…患者の誰もが見てわかる医療従事者の院内でのそれぞれの専門性・分野の違いといった区別がなくなってきているのは、少し残念な気持ちでもあります。
ですが、その中でどんなにスタイルが様変わりしても変わらないこと、変わってはいけないことがあります。それは、医療現場・そこに従事する医療従事者の「清潔さ」であるといえるでしょう。

医療現場での「清潔さ」の象徴である医療白衣と身だしなみ

医師の方の身だしなみについてのアンケートといった貴重なデーターを、研修で活用させて頂いたことがあります。
株式会社 メディウェル EPILOGI エピロギ
➢医師だって第一印象は重要! 患者が気になる医師の身だしなみ 
大変多忙な医師にとって身だしなみよりは、医療技術の向上と経験値、患者への所見が大切であることは言うまでもありませんが、実に多くの患者の方が気になり、その大半が男性の医師の身だしなみであることがうかがえます。その中で衣服が汚れていた、服装がだらしなかったが、その要因の1位。これは、男性医師・女性医師共に同じランキングです。
患者はそのような気になる点が見つかった場合、どのような気持ちになるかというと、
ほとんどの方が「医療に対する信頼性を損なった」「不安・心配になった」という意見でした。これは医師だけに限らず、医療従事者、特に患者と接することが多い看護師の方の身だしなみでも、同じようなことが言えるでしょう。

医師・医療従事者身だしなみ

私も実際に、血液検査のため、血液採取する担当の看護師の方の白衣のポケットに物がたくさん入っていて、差し込んだボールペンやペンのインクがにじみ黒く汚れていることが目に入った際は、この担当者の方でうまく採取してもらえるかな~と不安に感じたことがあります。特に私は血管が細く、浮き出てこない体質なので、看護師泣かせで申し訳ないのですが…案の定、その担当者の方が何度も針を刺し、腕はいくつも内出血になってしまい、最初に受けた印象『第一印象』は、間違いではなかったと感じたこともありました。

『第一印象』を決定づける身だしなみの大切さ

 第一印象は、医師・医療従事者ともに、とても重要です。なぜならかかりつけの病院がある場合や通院が長い患者は別として、ほとんどの患者の方にとって、初めて会う医師であり、初めて接する医療従事者だからです。人の印象を決定づける時間は、たった3秒~5秒。その短い時間で、医師・医療従事者の見た目から受ける印象を感じとっています。「とっつきにくそうな雰囲気の医師だなー」「忙しさでカリカリした看護師の方だなー」といった、人柄にまで及びます。できればこの3秒~5秒で皆さんそれぞれの優しい微笑みで接することができればベストですが、患者数の多い場合は、そうもいってはいられません。では、どのようにすれば医師・医療従事者の方の第一印象を良くすることができるのでしょうか?研修では、「身だしなみ」の徹底とその重要性について、様々な切り口でお伝えしています。その一つが、身だしなみを整えることは、事前に準備できる「仕事」の一つであるということです。医師・医療従事者は、初めて会う・初めて接する患者のパーソナル・スペース(ゾーン)に入る・もしくは患者に触れることが仕事です。医師・医療従事者にとっては、患者に近づく・触れることは、当たり前のことですが、患者にとっては緊張感と不安の増す場面です。それはパーソナル・スペースが、親しくない相手が近づいてくると不快に感じるといった、誰もが持つ当たり前の感覚であり・距離感であるからといえます。パーソナル・スペース内では、人はとても敏感です。「この人は私にとってどうであるか」を、五感(その中でも、視覚・聴覚・嗅覚)を研ぎ澄まし感じ取っているからです。医師・医療従事者が診察・処置を施してくれると頭で理解していても、五感を通して感じ取った生理的に受け入れられるかどうかは、後々にまで影響します。
近づくからこそ分かる臭い、汚れ、しわといった印象で、医師の見立ての説得力や医療従事者の施す処置の良し悪しまで左右されるということを今一度考えて、忙しさに関係なく事前にできる仕事として、「身だしなみ」の特に『清潔感』の徹底をさらに高めていきましょう。ナースキャップに込められた意味でもある、「清潔さ」を常に保つことは、医療に携わるすべての人の「責任」でもあります。白衣を着用すれば、身だしなみが整うのではありません。初めて出会う医師、初めて接する医療従事者と、病院を訪れる患者やその家族との「信頼関係」の構築には、第一印象を決定づける「身だしなみを整え、清潔に保つこと」が最重要事項といえるのです。
➢患者が好む病院の「第一印象」のポイントとは…
➢医療接遇研修プラン

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谷澤優花
専門家

谷澤優花(ビジネスマナー講師)

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問題点や実際のクレーム案件など企業ごとに内容を把握した上で、研修の内容を組み立てています。研修中や研修フォローにIT技術を導入。現場ですぐに実践できるビジネスマナー・接遇を分かりやすく指導しています。

谷澤優花プロはテレビせとうちが厳正なる審査をした登録専門家です

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