患者に信頼される「言葉づかい、敬語」
挨拶ひとつで病院が変わる
「礼儀」を表すには、たくさんの方法があります。その中でも、「挨拶」は一番初めに相手に伝えるべき礼儀です。このことをおろそかにしては、後からどんなに正しく丁寧な礼儀を行っても、初めの印象をくつがえすことは、なかなか難しいといえます。
それほどまでに、挨拶ひとつが全てを決めるといっても過言ではないのです。
これは病院に限らず、一般企業にとっても、同じことが言えます。実は人が相手の印象を決定づける要因は、職種に関係なく、行動パターンがあるからです。
「メラビアンの法則」を、ご存知でしょうか?アメリカのUCLA大学の心理学者アルバート・メラビアンが実験結果から出した法則です。みなさんは、なんとなくフィーリングといった言葉で、初めて会った人との印象を漠然と感じていたと思いますが、見た目が55%、話し方が38%、話の内容が7%といった割合で、目から入る情報と、耳から入る情報で相手のことを知ろうとすることが分かっています。もちろん話しの内容が一番重要ではありますが、第一印象において見た目の大切さはとても大きいといえるでしょう。「この店員さんとは、フィーリングが合う。」「感じの良い店員さん。」と思う理由は、無意識のうちにこの二つの感覚から入る情報で、相手を判断していたのです。このことから、相手に好印象を与えたいなら、視覚と聴覚にうったえる礼儀やマナーを身に付けておくことが必須です。
第一印象で視覚と聴覚両方の要因をそなえた礼儀こそ、「挨拶」といえるでしょう。挨拶は、表情や態度に姿勢・おじぎといったボディーランゲージで目に映り、はっきりと聞きとりやすい声や明るいトーン、出迎えの気持ちがこもったお声かけにより、相手の耳と心に届くからです。
このようなことから『病院の印象』は、最初に患者さんを出迎えた一人の挨拶の良し悪しによって、評価が決まるともいえるのです。
➤患者が好む病院の「第一印象」のポイントとは…
患者さんは不安を抱えて病院にきます。その不安を少しでも軽減させることができるような「安心感のある対応」は、「礼儀」をふまえた「挨拶」にあるといえるでしょう。「たかが挨拶。されど挨拶。」なぜ、幼いころから現在に至っても「挨拶は大切だ!」と、教わってきたのか…。ご理解いただけたと思います。
患者さんを心配し、耳と心を傾けて「聴く姿勢」
患者さんは自分だけで解決できないと判断し、「助けてほしい」「不安」だと思って病院を訪れます。ですから医療従事者は、病状やけがの状況、時期や思い当たる理由といったことを患者さんから引き出す、「きき方」が求められます。
「しっかりと話しを、ききましょう。」と小さい頃から「きく」ことの大切さを教わってきたと思いますが、みなさんは「きき方」に3つの種類があることをご存知でしょうか?
1つは「聞く」、2つ目は「聴く」、3つ目は「訊く」です。この3つの「きく」の意味をご説明しましょう。
まず皆様がよく使う「聞く」の意味は、無意識に入ってくる音を受け入れるということです(受動)。これに対し2つ目の「聴く」は漢字のつくりを見ても分かるように、自ら耳を傾け心から聴きとろうとする場合に使います(能動)。「傾聴」という言葉を、お聞きになったこともあると思います。不安を抱いた患者さんとの対応には、この「傾聴」=「話しをしている相手の方に、耳と体を傾けて、心から聴こうとする姿勢」が大切なのです。
3つ目の「訊く」は、漢字に「耳」という「旁=つくり」がありません。「口で言う」「言=こんべん」です。これは、足りない情報をたずねるという意味で使われます。つまり、相手とのコミュニケーションの上で、聞こえてきた話しの内容を、心から注意深く聴いてみたけれど、それでも理解が及ばない場合は、自分の口でたずねることが、大切であるということです。
このように「相手の話をしっかりと、きく。」という真意の中には、この3つの「きく」を使い分けることが重要であるといえるでしょう。
皆様のきき方は、いかがでしょうか?
「私の病状をしっかりと、聴いてくれている」と感じた患者さんは、医療従事者に信頼を寄せます。そして、応対の仕方から「この病院に来て、良かった。」と、安心します。相手に耳と体を傾けて聴く姿勢こそが、病院内で不安な患者さんの心を、少しでも和らげることが出来るのです。日々の業務の中で、この3つの「きく」を使い分けるよう、意識してみてはいかがでしょうか?
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医療接遇研修プラン
◆ビジネスマナー・接遇を通し円滑なコミュニケーション方法を提案
問題点や改善点、実際のクレーム案件など企業ごとに内容を把握した上で、研修の内容を組み立てます。
現場ですぐに実践できるビジネスマナー・接遇を分かりやすく伝えています。
ビジネスマナー講師 谷澤優花