「他社はどうしてる?」から始まる、両立支援とダイバーシティの話
2026年9月4日、岡山県主催
令和8年度高年齢者活躍支援事業「多様な人材が活躍する職場づくり実践セミナー」
に登壇しました。
テーマは、シニア活躍を経営力に変えるダイバーシティ経営
今回は、制度と職場風土づくりの両面から、シニア人材がこれまで培ってきた経験や強みを、組織の中でどう活かしていくのかという視点でお話ししました。
シニア人材を“福祉的雇用”にしていませんか?
シニア人材を、「本人の生活維持や社会参加を支えるため」という視点だけで雇用していませんか?
長年培ってきた経験や知識、技術、人脈など、シニア人材だからこそ持っている力があります。
今回のセミナーでは、その力を活かすためのヒントを、「制度面」と「職場風土」の両面からお伝えしました。
職場風土の面で、まず取り上げたのが、年齢に対する思い込み(アンコンシャス・バイアス)です。
- 新しいことを覚えるのは大変だろう
- 体力的に厳しいだろう
- 昔のやり方にこだわりそう
- 年下の上司だとやりにくいだろう
「無理をさせないほうがいい」という良かれと思っての配慮が、かえって期待値を下げ、仕事や成長の機会を減らしてしまうこともあります。
年齢でひとくくりにせず、一人ひとりの経験や強みを見ること。
シニア人材を「雇用する人」から「活躍する人材」へと捉え直すことが大切です。
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そして、もうひとつお伝えしたのが「承認」です。
人事担当者の方から、「指示を待つのではなく、自分で考え、自ら行動できる人材になってほしい」という声をよく伺います。
いわゆる自律型人材です。
マズローの欲求5段階説では、人の欲求を次の5つに分けて考えます。
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 所属と愛の欲求
- 承認の欲求
- 自己実現の欲求
ここで注目したいのが、「自己実現」の前に「承認」があることです。
- 自分の仕事を見てもらえている
- 経験や能力を認めてもらえている
- 自分が必要とされている
そう感じられることが、「もっと役に立ちたい」「自分で考えてやってみよう」「新しいことにも挑戦してみよう」という気持ちにつながっていきます。
自律型人材を育てるうえで、「承認」は大切な土台のひとつです。
特にベテランになるほど、「できて当たり前」と思われ、承認の言葉が少なくなりがちではないでしょうか。
「その経験を若い人にも伝えてほしい」
「この仕事は○○さんに任せたい」
このように、その人の強みを認め、役割や期待を言葉にして伝えること。
それも、シニア人材の力を引き出すために、とても大切なことだと思っています。
「60歳になったから賃金を下げる」でいいのか
そして、役割や期待を明確にすることは、定年後再雇用の処遇を考えるうえでも大切です。
「60歳になったから」「再雇用だから」と一律に考えるのではなく、
- どんな仕事をするのか
- どこまで責任を持つのか
- 何を期待するのか
- 経験や能力をどう活かすのか
を整理したうえで、処遇を考えていく必要があります。
2026年10月には、同一労働同一賃金に関するガイドライン等も改正されます。
これからはさらに、「年齢」や「再雇用だから」ではなく、その人が担う仕事や役割、能力・経験などを踏まえて処遇を考えることが重要になります。
研修では、「その人が辞めたら、会社から何がなくなりますか?」という問いも投げかけました。技術、経験、人脈、お客様との信頼関係、若手を育てる力。
目には見えにくくても、長年働いてきたからこそ培われた「会社の財産」があります。
大切なのは、「何歳か」ではなく、「何ができるか」。
そして、その力をこれからどのように活かしてもらうのかを考えることです。
参加された皆さまからの声
セミナー後のアンケートでは、
- 話題は多岐にわたり、聞きやすかった
- 高年齢者が働きやすい環境づくりは、労使双方にとってメリットが大きいことがわかった
- 悩んでいた内容を明確に言語化していただけたと感じ、とても参考になった
など、うれしい感想をいただきました。
特に「悩んでいたことが言語化された」という言葉は、講師としてとてもうれしく感じます。
シニア人材の活躍を考えることは、シニアだけのためではありません。
「人がいくつになっても、自分の力を発揮できる会社づくり」
今回のセミナーが、そんな職場づくりを考えるきっかけになれば、うれしく思います。


