重心を感じて立つ うまさきせつこのボディコントロール
肋骨を整えて美しいお辞儀ができますか?
肋骨を整えることをレッスンでやっていて
思い出したことだが
もう数年以上も前に
お芝居を見に行ったことがある。
大人数のお芝居で、お辞儀をする場面が
たくさん出てきた。
とても良いお芝居だったが
お辞儀が美しくなく
それだけが気になって仕方なかった。
背中が丸く、お尻はうんと後ろで
足裏からお尻の角度は
ひどい人なら45度に近い。
時代背景が戦時中のお芝居だったが
その頃の人のお辞儀はこうではないだろうと
お節介なことを考えた。
その時思ったのは背骨が伸びない、お腹が縮んでるんだなあと
思っていたが
お腹が伸びないのは肋骨や肩甲骨の位置感覚がわからず
伸ばせないからだ。
頭を下げたらお辞儀になると思っていたらそうなる。
頭から下げるお辞儀は上の画像のようになり
股関節で折るお辞儀は下の画像のようになる。
元々、体の意識のある人にやってもらっているので
お尻の位置はそれほど顕著に後ろに行っていないが
足裏とお尻の位置を結ぶ角度が45度になったら
どんな風に見えるか想像してください。
肋骨が整った状態であれば、自然に背骨が伸び
股関節が折れ、脚方向にも流れがいたるが
頭から下げることをすると
どこも詰まってしまい
それぞれで動かされる。
お辞儀ひとつも「しんどいこと」になってしまう。
何かに心動かされて
自然に頭を下げずにはいられない時に
お辞儀が美しくないから嘘だとは言わない。
真ん丸な背中で首が曲がっていようと
お尻が下がっていようと
人の心には届く。
でも自然な体の状態が身についていれば
その所作は美しい。
格闘技の試合前のお辞儀でも
お辞儀が美しい人は強い。
だから武道などでは礼が重んじられる。
心と体が同じように育っていくことが大事にされている。
お辞儀ひとつで、その人の普段の生活も
どういう人なのだろうか、という想像もできる。
きれいなお辞儀ができるのは
体が無理なく使える機能が優れた状態だということだ。