肋骨の位置を整えて自然な力の流れを作る
「正座ができない」を考えてみた3
しつこいようだが
「正座」についてまた考えてみた。
正座が苦手な人にありがちな状態。
・普段は正座を避けるが
正座するときには、脚に負担がかからないように
前のほうに乗って踵の上に載らないようにしている。
・その意識のため、体幹の位置感覚はなくなり、背骨は伸びない。
・足裏は縮んでいる(足首が伸びない)
・腿、膝裏、ふくらはぎ、折りたたむところは固まっている。
・膝小僧が下向き
・膝などの怪我の治療中は別として
膝自体の怪我が治癒した後も、その周りが固まっている。
バーにつかまり、体幹の底まで通すように伸ばしてもらった。
この方は普段はもっと背骨が伸びるが、今から「正座」の頭があるので
ちょっと用心されているのが見える。
膝周りが固まっている。
いきなり両脚折りたたむのは腰が引けるので
片方を伸ばしてみた。
「痛くなるだろう」という気持ちがあるので
軸側の膝下、踵をずらしてしまう。
前の壁を踵を押して拇指、小趾のラインをつけて
股関節を折りたたむ。
坐骨~膝が短く使われて、膝は下向きできつそう。
見ると肩甲骨が外に大きく開いている。
これでは背骨は伸びず、推進力は働かない。
脇を引き込み、肩甲骨を回し下げて
下の写真のように背骨方向に寄せてくると
背骨が伸びて体幹の底を押せるので
坐骨~膝が長くなり、膝小僧が上を向いている。
膝周り、ふくらはぎ、足首が楽そうになった。
股関節を引き込み、お尻を掬い上げるのができた。
膝周り、膝から下の固さが取れたので
バーを持った状態で膝立ち。
やはり、膝下の方向を無意識にずらしてしまうので
膝小僧を引き上げて、踵を押すことをやってみた。
膝小僧の方向を示してもらい
土踏まずを伸ばせるように流れを促していくと
土踏まずが伸びていく度ごとに
膝小僧が上を向いていく。
連動しているのだ。
踵を押したまま、つま先まで流れを通すのが
何とかできた。
両脚とも土踏まずを伸ばして、方向を合わせて
背骨が伸びた状態で踵より坐骨が後ろに行くように
正座してもらった。
「足に負担のかからないように」という意識は
ここで使ってもらいたい。
体幹の底を押しつつ、頭からストローで吸い上げるような意識。
推進力が働いて背骨が伸びているので
鏡餅の上に段が重なるような正座ではない。
もちろん、バーは持っているが
腕の力で支えているのではない。
ご自身の体幹の推進力で無理のない正座ができている。
「ここまで正座ができたのは何年振りかしら」
とおっしゃっていた。
多くの人は膝が悪いから、正座ができないのでなく
負担をかけまいとする意識から、代償行為をして
別のところが痛くなって正座ができない循環を
作っていることが多いのがわかる。
参考:折りたたむ膝から下に力が入ってしまう