働き方改革推進支援助成金(コロナ対策テレワークコース)の対象経費について
社労士&アンガーマネジメントファシリテーターの三谷です。
今日は、「平均賃金」と「休業手当」について。
雇用調整助成金で必要となる休業手当の支払い。
この額については、「給料の6割」という認識が広く浸透しているのではないでしょうか。
今朝(4/25)の日経新聞には「前年度の賃金額の60%以上」という表現がありました。
しかし、これらは正確ではありません。
正確には、休業手当は、
「平均賃金の60%以上の額」と労働基準法26条で定められています。
【平均賃金について】
そして、ここでいう「平均賃金」についても同様に法律で計算方法が決められています。
事由の発生した日以前3ヵ月間に支払われた賃金の総額 ÷ 期間の総日数(暦日数)
休業を始めた日から3か月さかのぼりますが、
賃金締切日がある場合は、直近の締日からさかのぼります。
例えば、4月1日から休業を始めた会社で、15日締めということであれば、
12/16~1/15
1/16~2/15
2/16~3/15
この期間の賃金総額を期間の総暦日数(91日)で割ることで、
1日あたりの平均賃金が算出できます。
ちなみに、次の期間がある場合は、
その日数及び賃金額は先の期間および賃金総額から控除します。
•業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間
•産前産後の休業した期間
•使用者の責任によって休業した期間
•育児・介護休業期間
•試みの使用期間(試用期間)
さらに、「支払われた賃金の総額」には、
通勤手当や能力手当、皆勤手当等の各種手当も含まれます。
残業代も含まれるので注意が必要です。
例外的に控除できる賃金等は、下記の通りです。
•臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金等)
•3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金
(四半期ごとに支払われる賞与など、賞与であっても3ヵ月ごとに支払われる場合は算入されます)
•労働協約で定められていない現物給与
なお、ここまでは、原則の計算です。
賃金が日額や出来高給で決められ労働日数が少ない場合、
原則通りでは平均賃金が低くなることもあるため、
例外的に最低保障の計算方法が定められています。
事由の発生した日以前3ヵ月間に支払われた賃金の総額÷期間の労働日数×60%
違うのは、暦日数ではなく、実際に働いた労働日数で割ること。
そして、その額の60%が最低保障となります。
原則と比較してどちらか高い方がその従業員の平均賃金となります。
【休業手当】
一方、休業手当は、「平均賃金の60%以上」です。
そのため、上記で求めた平均賃金の60%以上を支払う必要があります。
今まで見てきたように、平均賃金を計算する時には、
残業代や各種手当も含みます。
そうすると、単純に「休業手当は基本給の60%を支払う」としていると、
法律の要件を満たないこともでてきます。
雇用調整助成金においても、
労基法26条で定められた賃金(平均賃金60%以上)に違反していないことが要件になっています。
以上、平均賃金と休業手当の考え方は、しっかりと理解しておきましょう。