休日労働で欠勤したら、その日に年休は取得できるか
労災保険は、「労働者」のための保険制度ですが、
実は、社長でも加入することができることをご存知ですか。
「え~、そうなの?」
と思われた社長。そうなんです。
労災保険には「特別加入制度」というものがありまして、
労働者に準じて保護することが適当であると認められる人には
特別に任意加入を認めているのです。
「労働者に準じて保護することが適当である人」って?
具体的には、
・中小事業主
・運送業や建築業等の一人親方
・海外派遣者
ということで、(中小企業の)社長も加入できるのです!
「で、もし仕事中に何かあったらいくらもらえるの?」
そうですよね。それが気になるところです。
特別加入する際、社長さんは13段階ある「給付基礎日額」の中から一つ選択することになります。
これは、もし給付事由が生じた場合にもらえる日額の計算基礎になる金額のことです。
まあ、日給と同じようなものと考えて良いと思います。
それで、この給付基礎日額は
下は3,500円から、上は20,000円まであって好きな金額を選ぶことができます。
(ただし、最終的には県の労働局長さんが決定します)
仮に、給付基礎日額20,000円で加入していて、仕事中のケガで休業する場合、
給付基礎日額20,000円×60%=12,000が支給されます。
(休業補償給付は、給付基礎日額の60%を支給する、とされています)
さて、ここからが重要なのですが、
この給付基礎日額、この9月から選択の幅が広がりました。
具体的には、新たに「22,000円」「24,000円」「25,000円」が加わりました。
これは、先般の在アルジェリア邦人に対するテロ事件を機に給付基礎日額の引上げの要望が
出ていることや、上限額20,000円を選択している加入者が非常に多いこと、海外派遣者の
給与が相当高い水準にあること等を受けて法改正された経緯があります。
例えば、海外派遣者が死亡した場合、遺族1人に支払われる年金額は給付基礎日額の153日分。
これまでの最大306万円(2万円×153日)が382万5千円(2.5万円×153日)に増えます。
最後は、社長の労災ではなく、海外派遣者の話になりましたが、
今回はこのような特別加入制度がある、ということをご紹介しました。
(おわり)