抗がん剤が原因となる1型糖尿病とは
はじめに
「糖尿病の家族歴があると、糖尿病になりやすい」と聞いたことがあるかもしれません。実際に、日本人約4万人を対象とした大規模な研究により、糖尿病の家族歴がある人は、ない人と比べて糖尿病を発症するリスクが約2.4倍高くなることが明らかになりました。今回は、家族歴がなぜ重要なのかについて考えてみます。
家族歴とは
家族歴とは、両親(父親・母親)、兄弟姉妹、祖父母のいずれかが糖尿病である場合を指します。このうち、兄弟姉妹に糖尿病がある場合が、最も糖尿病発症のリスクが高くなります。また、複数の家族が糖尿病である場合、さらにリスクが高くなります。母親が糖尿病である場合は、父親が糖尿病である場合よりもリスクが高くなることも確認されています。
家族歴は遺伝的要因のみを意味しない
家族歴は、遺伝的要因だけでなく、生活習慣や環境要因も反映しています。最近の研究では、糖尿病の発症に関与する遺伝子が多数同定されていますが、それらの遺伝子だけでは糖尿病の発症リスクを十分に説明できません。一方、家族歴は簡単な問診で糖尿病発症のリスクを予測できる重要な指標となっています。
家族歴の人数と発症リスク
糖尿病の家族歴がある人数が増えるほど、糖尿病を発症するリスクは段階的に上昇します。
家族歴のある人数とリスク倍率の関係は以下の通りです。
- 1人の場合:2.7倍
- 2人の場合:6.2倍
- 3人以上の場合:12.0倍
- 3世代(両親、兄弟姉妹、祖父母)にわたる場合:20.4倍
この結果から、家族歴のある人数を把握することが糖尿病発症リスクの評価において重要であることが分かります。
高血圧症・脂質異常症と家族歴
糖尿病だけでなく、高血圧症や脂質異常症においても家族歴は発症リスクと関連しています。
家族歴がある場合の発症リスクは以下の通りです。
- 高血圧症:1.4倍
- 脂質異常症:1.4倍
ただし、糖尿病ほど家族歴の影響は強くありません。
まとめ
糖尿病の家族歴は、その人の糖尿病発症リスクを予測する重要な指標です。特に、兄弟姉妹に糖尿病がある場合や、複数の家族に糖尿病がある場合は、より注意が必要です。しかし、家族歴があっても、適切な生活習慣を心がけることで糖尿病の発症リスクを低減できます。家族歴は変えられませんが、早期から予防に取り組むことで健康を守ることが可能です。
引用文献
Cross-sectional and Longitudinal Associations Between Family History of Type 2 Diabetes Mellitus, Hypertension, and Dyslipidemia and Their Prevalence and Incidence: Toranomon Hospital Health Management Center Study (TOPICS24). Mayo Clinic Proceedings, 2024.



