グリセミックインデックス(指数)とグリセミックロード(量)
夜遅くに食事をすると肥満になりやすいことは知られていましたが、その理由は不明でした。そこで、下記の様な研究が実施され、「Cell Metabolism」 という非常に有名な論文に2022年10月4日に掲載されました。
研究内容
16人の肥満成人(平均年齢37.3±2.8歳、女性5人、BMI28.7±0.6)を対象として、
・研究室に連続6日間(条件の変えて、合計12日間)宿泊してもらい、決められたスケジュール通りに生活する
・条件1,朝食を8時に食べる
条件2,朝食を12時10分に食べる(条件1より250分遅い時間帯)
・朝食から昼食、および昼食から夕食の間隔は両条件でそろえ、また食事内容および就床・起床時刻も一致させる
結果
条件2の遅い時間に食事を開始し、夕食が深夜になるという生活パターンでは、条件1の生活パターンと比べて、
・空腹感の亢進を認めた
・消費エネルギー量の低下を認めた
・食欲刺激ホルモンであるグレリンの増加を認めた
・食欲抑制ホルモンであるレプチンの減少を認めた
・深部体温の低下を認めた
・脂肪組織の分解を抑制させる遺伝子群の発現変化を認めた
結果の意味
これらの結果より、この論文の筆者らは、「食事の時間帯を遅くし、それ以外の生活パターンが全て同じままだと、消費エネルギー量が減り、食欲が増進し、体重増加につながる脂肪組織の変化が現れる」と述べています。つまり、夜遅い時間に食事をすると太りやすくなるということを科学的に証明したというわけです。
説得力のある研究結果ですが、あくまでも研究ですので、解釈には注意点もありそうです。例えば、食事時間をずらすことで、遅い時間に食べた夕食から、就寝までの時間は短くなってしまいます。つまり、夕食を食べてから寝るまでの時間が短いことが、これらの結果(肥満になりやすい)の原因となっている可能性もあります。
いずれにしても、夜遅い時間に食べて、すぐに寝てしまうと、太りやすくなるということは科学的にみても確からしいということは言えそうです。
引用文献:Cell Metabolism, Volume 34, Issue 10, 4 October 2022, Pages 1486-1498.e7