糖尿病であることを「恥ずかしい」と感じる要因と療養行動への影響 ~糖尿病学会での活動報告 第2回(3回シリーズ)~
2022年5月12日から5月14日にかけて、神戸にて開催された日本糖尿病学会年次学術集会において、
糖尿病内科まつだクリニックから3つの演題を発表してきました。
3回シリーズで、学会で発表した内容をご報告させていただいています。今回は第3回です。
第3回のタイトルは、
「糖代謝状態の変化は筋肉量と骨ミネラル量の変化に影響を及ぼす」
です。
【研究の目的】
糖尿病診療において、食事や運動などの療養行動の支援は非常に重要です。
療養行動の指標として体重を用いる場合が多いですが、筋肉量や脂肪量を把握できなければ、療養行動に対する正しいフィードバックが出来ない場合があります。
したがって、体組成の変化を把握していくことは、療養行動の評価において有用であると考えています。
そこで、糖代謝状態の変化と体組成の変化との関連を明らかにすることを目的としました。
【研究の方法】
初回のInBody(登録商標)実施時と半年後の経時的変化を捉えることができた409人(平均年齢 59±14歳、男性/女性=256/154)を対象としました。
初回、6か月後におけるHbA1c(血糖の平均値)、体組成の各指標について比較しました。
【研究の結果】
・HbA1cは、8.0±1.9 %から、7.0±0.9 %と有意に低下していました。
・骨格筋量指数、体幹筋肉量および骨ミネラル量の増加と、HbA1c(血糖の平均値)の低下が関連していることが明らかになりました。
【研究の考察・結論】
筋肉量の増加とHbA1c(血糖の平均値)の低下が関係していた一方で、体脂肪率や体幹脂肪量の変化はHbA1cの変化と関係性を認めませんでした。
6か月という短期間では、脂肪量より筋肉量の変化が、糖代謝の変化に、より強い影響を及ぼすことが示唆されました。
これらは、筋肉量の増加を意識した療養支援を行うことの重要性を支持する結果でした。
また、糖尿病患者では骨折のリスクが上昇することが知られています。
本研究では、少なくとも6か月間の糖代謝の変化と骨ミネラル量の変化が関係していました。
以上より、糖代謝状態の変化は体組成の変化と関係していることが明らかになりました。
また、筋肉量や骨ミネラル量を意識した療養支援が重要であると考えられました。