自律的なやる気が豊かな人生をもたらす ~自己決定理論について~
「日本人の食事摂取基準」とは
食を楽しむことはとても大切ですが、食は健康に直結するため、ある程度正しく選ぶことも大切です。食の選び方の目安として、厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」があります。これは、国民の健康の保持・増進を図るうえで摂取することが望ましいエネルギーおよび栄養素の量の基準を定めたもので、5年毎に改定されています。
食の喜びに関しては、厚生労働省も意識していて、公表されている文章中にも、
『食事療法を長く継続するためには、個々の食習慣を尊重しながら、病態に基づいて柔軟な対応をすることが求められる。それぞれの患者のリスクを評価し、医学的齟齬のない範囲で、食を楽しむことを最も優先させるべきである。』
とあり、食事を楽しむ重要性が語られています。
さらに、最近の我が国での栄養に関する問題として、「栄養障害の二重負荷」について言及されています。栄養障害の二重負荷とは、同じ地球上に過栄養と低栄養が混在していることを指す場合もありますが、ここで言う栄養障害の二重負荷とは、一人の人生の中で、壮年期、中年期は生活習慣病や肥満症を患いながら、老化とともにフレイル(虚弱)や低栄養状態となってしまうことを指しています。
この高齢者にみられるフレイル(虚弱)とは、タンパク質を中心とした栄養の不足により、筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下することを意味しています。
このように食事スタイルは、ライフステージによって変えていく必要があります。若い時には体重をコントロールするための肥満対策が大切ですが、年齢を重ねると、今度は体重や筋肉を減らし過ぎないための対策が必要となってくるのです。その対策こそが、たんぱく質をしっかり摂取する、ということです。50歳頃からたんぱく質摂取不足にならないように意識していく必要があるとされています。そこで、今回はたんぱく質について考えてみたいと思います。
たんぱく質とは
人の体の約16%はたんぱく質でできています。水分と脂質を除くとほとんどがたんぱく質という言い方もできます。筋肉や骨、内臓、皮膚、爪などの主成分はたんぱく質です。特に、筋肉は80%がたんぱく質でできています。
〇たんぱく質の種類
たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されています。様々な種類のアミノ酸がたくさん結合したものがたんぱく質です。食べ物としてたんぱく質を摂取しても、そのままでは体内に吸収することはできません。体内で消化酵素の働きにより、胃や十二指腸で消化酵素に分解されペプチドとなり、さらに小腸でアミノ酸に分解された後、小腸で吸収され体内に入っていきます(図参照)。これらのアミノ酸は、大きく必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分けられます。
・必須アミノ酸
アミノ酸のうち、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンの9種類は、体内で必要量を合成できないため、食事から摂取する必要があります。これらのアミノ酸を必須アミノ酸といいます。
・非必須アミノ酸
必須アミノ酸以外のアミノ酸は体内で合成することができます。グリシン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、チロシン、システイン、アルギニン、プロリンの11種類です。
これらのたんぱく質を維持していくためにも、人間はたんぱく質を食事として摂取する必要があります。