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ミネラルを知る~各論編2~

松田友和

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テーマ:生活習慣

過剰摂取に注意すべきミネラル~前回からの続き~

◎マグネシウム
最後に、多量ミネラルの1つであるマグネシウムを紹介します。
マグネシウムは、図表中では多量ミネラルに相当し、過剰摂取に注意にも、摂取不足に注意にも該当していません。実は、まだまだわかっていないことが多いマグネシウムですが、臨床の場ではお薬によるマグネシウムの過剰摂取の問題と、生活習慣病とマグネシウムの摂取不足との関係が話題にあがります。


薬によるマグネシウムの過剰摂取

まずは、お薬による過剰摂取が引き起こす問題からお話します。実は、便秘のお薬として、酸化マグネシウム製剤というものがあります。これはマグネシウムの働きで便を柔らかくすることで排便をコントロールするお薬で、多くの方々が内服されています。基本には、この酸化マグネシウム製剤を内服で使用していて、高マグネシウム血症になることはありませんが、腎機能が低下している方は要注意です。下剤として扱われていることでも理解できるように、過剰摂取によってまず起こることは下痢です。腎機能が悪い場合に高マグネシウム血症になると、吐き気、血圧低下、全身倦怠感などの症状を引き起こします。稀ではありますが、腎機能が低下している方が、酸化マグネシウム製剤を内服することによって、高マグネシウム血症となるケースが報告されています。ちなみに、通常の食品を摂取することで、マグネシウムの過剰摂取による健康影響が発生したという報告はありません。

生活習慣病とマグネシウムの摂取不足

次に、生活習慣病とマグネシウム摂取不足との関係の話です。
マグネシウムをしっかり摂取することで、糖尿病を予防できるのではないかという報告があり(参照:Diabetes Care 33:2064-10,2010., Diabetes Care 34:2116-22,2011.)、大変注目されました。さらに、糖尿病のみならず、不整脈、高血圧、動脈硬化症、骨粗鬆症、心疾患などとマグネシウムの摂取不足との関連が示唆されています。しかし、まだ明確なエビデンス(証拠)はなく、これからのさらなる研究が必要な状態です。一方で、腎機能に問題がなければ、マグネシウムを食品から摂取することでは高マグネシウム血症になることは考え難いため、マグネシウム摂取を意識しておいても困ることはなさそうです。マグネシウムは、藻類、魚介類、穀類(蕎麦など)、野菜類、豆類などに多く含まれています。

まとめ

今回は、総論編、各論編に分けて、ミネラルについてまとめてみました。身体にとって必須であるミネラルの観点からも、様々食品を食べるようにしておいて間違いはないように思います。
孫子の兵法にあるように、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」です。食事は敵ではありませんが、正しい知識を身に着けておけば、食事の摂り方に振り回されることもありません。食事を楽しむためにも、これからも食についても情報提供をしていきたいと思います。

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松田友和
専門家

松田友和(内科医)

医療法人社団翠藍 糖尿病内科まつだクリニック

糖尿病専門クリニック。糖尿病専門医による薬物療法に加え、認定看護師や療養指導士など糖尿病専門スタッフがチームで食事療法や運動療法も行う。フットケア外来、禁煙外来、糖尿病患者友の会「ばんぶぅ会」もある。

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