人工甘味料の功罪(後編)
なぜオリゴ糖は健康的な糖なのか
オリゴ糖は体に良い糖であるという根拠の1つは、オリゴ糖を摂取して消化管に入ってからの吸収のされ方にあります。言葉の定義上は二糖類ですので、正確な意味でのオリゴ糖ではありませんが、健康的な糖という意味では、先述のトレハロースもオリゴ糖の一種とされています。トレハロースのように、オリゴ糖は単糖類に分解されにくい性質も持っているものが多く、ブドウ糖として吸収されにくいということが最大の特徴になります。そのため、ショ糖(砂糖)などと比べて、血糖値の上昇が抑えられ、同じ量を食べても、低エネルギーで太りにくいとされています。また、腸内で分解されにくいため、腸の働きを整えたり、腸内細菌叢に影響を及ぼしたりできるわけです。これらの作用はオリゴ糖の種類によって異なるわけですが、オリゴ糖の効果をまとめてみます。
・低カロリー
甘味を感じる割に、腸管から吸収されにくいため、低カロリー
・整腸作用
腸管で分解されにくいため、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌を増やすことができるため、整腸作用を発揮します
・ミネラル(カルシウム、マグネシウム)の吸収促進
ビフィズス菌を増やすことで、腸内の環境を整え、カルシウムやマグネシウムが体内に吸収されやすくなります
・免疫力アップ
一部のオリゴ糖は腸管内にとどまることで、腸管内の免疫力を高めるスイッチを入れます。腸管内の免疫力アップは全身の免疫力アップにつながります
・齲(う)歯(虫歯)を増やさない
虫歯の原因であるミュータンス菌の増殖には、ブドウ糖やショ糖が必要です。しかし、
分解されにくいオリゴ糖は、ミュータンス菌の増殖を促進させにくいため、虫歯をふやさないと言われています。
これらの作用はオリゴ糖の種類によって異なりますが、様々な種類のオリゴ糖でこれらの作用が確認されています。
例えば、砂糖を原料に酵素を作用させて作られるフラクトオリゴ糖や、乳糖にβ-ガラクトシダーゼを作用させたガラクトオリゴ糖、乳糖と砂糖を材料に作られるラクトスクロースなどが特定保健用食品として認められています(図参照)。
オリゴ糖と砂糖の違い
単糖類であるブドウ糖や二糖類であるショ糖(砂糖の主成分)の多くには強い甘味があります。この甘味には中毒性があると言われており、無性に甘いものが欲しくなる要因にもなっています。また、腸管からの消化吸収が速いため、血液内の血糖値(血糖)を上げやすいという特徴もあります。そこで、注目されているのがオリゴ糖ということになります。
同じ糖でも、甘味料の甘さの強さを示す指標である甘味度は、半分以下であることが多いようです。そのため、中毒性も少ないかもしれません。さらに、前述したような様々な効果が期待できるため、健康補助食品としてオリゴ糖が注目されているわけです。
勿論、健康に良いと言っても、あくまでも砂糖の代用品として、適量を摂取することが大切ですが、オリゴ糖を上手に利用してみるのも健康増進につながるかもしれません。