第61回日本糖尿病学会年次学術集会に参加
神戸大学大学院保健学研究科で大学院講義をしてきました。
糖尿病は内分泌ホルモンであるインスリンが膵臓のβ細胞から充分に分泌されないために、血糖値が上昇する疾患群です。
絶対的にインスリン分泌が欠損している1型糖尿病は、完全なホルモン欠損症です。治療法は、欠損しているホルモンを補充するために、インスリン注射を行う必要があります。逆にいうと、インスリン補充をすることが病態に即した治療になります。
一方、糖尿病患者の大多数を占める2型糖尿病は生活習慣病という側面が注目されます。しかし、2型糖尿病も病態から考えると、インスリンの分泌が不十分であるということが必要不可欠な要素です。
それではインスリン分泌が低下するのか、あるいは低下しないのかは、どのようにして決まるのでしょうか。
実は、インスリン分泌の能力は遺伝的な要素が強いと言われています。つまり、2型糖尿病も生活習慣以外の要素も非常に重要なのです。
糖尿病患者は生活習慣がだらしない、という偏見をもたないことが大事です。江戸時代の生活習慣であれば、2型糖尿病にはなりにくいですが、今の日本で江戸時代のような生活をしている人は、ほとんどいないです。
糖尿病を正しく理解することが、糖尿病で人生を損なわないようにするための第一歩だと思います。