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コラム

【不動産投資】大家でFIREしたFPが作成した不動産投資の教科書

2023年2月1日 公開 / 2024年1月17日更新

テーマ:不動産投資

コラムカテゴリ:お金・保険

2022年1月の3時間のセミナー用テキストを一部修正したものです。長いです、ワード31ページ分・・・。
また、図などコピーできなかったので文章のみです・・・。
注意してご覧ください。


はじめに

コロナの影響も含めて今後どうなるのか?
不動産がどうなるのか、不動産で準備できること、をキーワード毎に考えていきましょう。

キーワード

1.インフレ
2.少子高齢化
3.二極化

1.インフレ


①インフレとは

モノの価値が上がる=カネの価値が下がることです。
例えば、現在価格1,000万円のマンションを 1,000万円の現金で買った場合を考えてみましょう。
インフレが進んで50年後に物価が4.2倍になっているとしたら、そのマンションは4,200万円に値上がりしていることになります。収入面も上昇しているはずですので豊かになっているのか?貧しくなっているのか?を“実質”で考える必要も出てくるでしょう。
                          

②ローン

それでは、ローンなどの債務はインフレになるとどうなるのでしょうか?
例えば、残債務2,000万円、毎月の返済額10万円のローンを組んでいるとします。インフレになったからといって連動して残債務が増えたりはしません。2,000万円という数字がスライドするだけです。返済額も同様で10万円のまま変わりません。ただし、インフレが進んでいるということは金利が上昇し、それによる返済額の上昇が考えられます。金利交渉など今の低金利の時期にやっておきましょう。

③方向性

これからインフレは進むのでしょうか?失われた30年などと言いつつ賃金は上昇していませんがモノの値段はこれから上がると考えられます。いくつか想像してみていただくとそれが実感できると思います。

・税金
コロナでさらに増税が加速することが予想されます。
「〇〇給付金」など多くのバラマキが行われています。コロナで景気が悪いはずなのに倒産が減少しました。本来なら淘汰されるような企業までもこのおかげで延命しているためです。「ゾンビ企業」などと呼ばれています。この莫大な資金の原資は当然に税金です。今後は増税やむなし、となるでしょう。
 また、人間の高齢化とともにインフラも高齢化が進んでいます。道路・トンネル・橋・上下水道管・ガス管・マンション・・・。これらのメンテナンスにも莫大な資金が必要です。
 そして少子化。莫大な税金を負担する人が減少し続けます。ITやDX、AIなどの生産性向上で賄う向きもありますが絶対数は必要です。         

・材料費
上昇基調に加えて、突発的な「ウッドショック」も発生しました。コロナの影響で巣ごもり生活となった結果、アメリカや中国のリフォーム需要が急増し木材が日本向けの輸出に回らなくなりました。2021年3月に発生したスエズ運河の座礁問題もさらに拍車をかけました。徐々に落ち着きを取り戻していますが、ハウスメーカーなどは値上げを決定しています。運送費も上昇しています。人件費のほかに石油価格が値上がりしたことによる転嫁、コロナで運送需要が急増したため運賃の高いものから運ばれる事態にもなっています。運送費についても少子化でドライバーが不足したり高齢化してきています。door to doorでドローン自動配送などの時代が来るまでは上昇を続けるでしょう。

・人件費
政府が賃上げ企業に税制優遇するなど躍起です。2021年7月には最低賃金が3%アップして930円になりました。デフレスパイラルから抜け出すために好循環を作り出そうとしています。
「雇用」「生産」「消費」の関係のおさらいしておきます。消費が拡大すればモノが必要になるので生産が盛んになります。生産が盛んになると雇用や賃金が良くなります。雇用・賃金が良くなるとさらに消費が盛んになります。
「鶏が先か、卵が先か」という話ですが、どこを好循環のスタートにすれば良いのかということです。まずは賃金を上昇させ消費を促したいところですが、あまりにも成果が出ていないので賃金面への踏み込んだ税制も出てきた状況です。日本の給料はここ20年間横ばいです。世界は上昇していますので相対的に日本は貧乏になったと言えます。
 インバウンドが旺盛になったのは日本が安くなったからです。ファストフードが好調なのも日本が貧乏になった現れかもしれません。日本型雇用システムは一定の成果を挙げてきましたが、成熟社会においては個々の創意工夫、生産性の向上、新分野の成長が欠かせません。コロナ禍のリモートワークで露呈したように各社に「妖精さん」は多数群がっています。
この点から不動産で準備できることは不動産を所有しておくことです。インフレになると連動して物件価格も上昇します。低金利の間に相応の不動産を持っておきましょう。

2.少子高齢化

      
インフレの項目でも出てきましたが日本の多くの問題の根源は「少子高齢化」と言っても過言ではありません。

「平均寿命」とは「今、生まれた赤ちゃんが何年生きるか」ですが、現在は男性81.41歳、女性87.45歳(2019年 厚生労働省調査)となっています。なぜ、長寿化が進んできたのでしょうか?
まずは平和。続いて、医療の進歩や栄養状態の改善が主因でしょう。
寿命は長くなったものの生涯にわたって元気でいられるか、という別の問題も出てきました。それが「健康寿命」です。

健康寿命とは「介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活できる期間」です。男性72.68歳、女性75.38歳(2019年 厚生労働省調査)。平均寿命との差は男性8.73年、女性12.07年。この差は縮小傾向が続いていますが、この期間についても準備しておく必要が出てきたわけです。 

では、準備できる期間。すなわち働いている期間の寿命「勤労寿命」はどうでしょうか?要は「いつまで働けるか」です。サラリーマンなら定年、自営業なら引退する年齢です。サラリーマンの場合は65歳が主流になりつつあります。年金給付は基本的に65歳からなので空白期間が無くなるのは喜ばしいことですが「働くしかない」のも現実かもしれません。

では、次に高齢化に備えておくべきことを考えてみましょう。

*後期高齢者の年間医療費一人100万円

 2021年11月に私の82歳の義父が脳出血で倒れました。今も意識は戻らず入院中です。人工呼吸器をつけて手厚い治療を受けつつ、治療費・食事・リネンなどの自己負担額は月額13万円のみです。日本の医療制度は素晴らしいですが、これが維持できるとはとても思えません。少子高齢化が進むにつれてさらに医療費負担は増加するでしょう。また、毎月13万円を年金から工面するのが厳しいこともあるでしょう。
この点から不動産で準備できることは年金以外の収入を確保しておくこと、団体信用生命保険を活用した借入をしておくことです。

*高齢ドライバーの事故増加

連日のように高齢ドライバーの事故のニュースが報じられています。被害者は往々にして保育園児や幼稚園児、小学生など未来ある人間です。私が運転していても高齢ドライバーが増えてきていることを実感します。私自身も70歳~75歳をメドにしてクルマの運転はやめたいと考えています。
 この点から不動産で準備できることは利便性の良い場所に住むことです。東京に限らず地方都市の駅近など考えると良いでしょう。地方に居住している場合は住み慣れた場所に住み続けたい気持ちはわかりますが、交通はもちろん電気や水道などのインフラや郵便までも圏外になりかねません。ある程度、早めに老後の生活拠点を考え、できれば慣れておくほうが良いでしょう。

* 年金受給 75歳からに繰り下げOK(2022年4月~)

100年安心とうたっていた年金制度もどんどん逼迫してきています。繰り下げ受給制度についても周知されるようになってきましたが、65歳の定時を選択する人がほとんどです。寿命は読めませんし、無難なもともとの年齢にしておこうという気持ちはよくわかります。
この点から不動産で準備できることは年金以外の収入を確保しておくこと、繰り下げ受給ができるように売却できる資産を持っておくことです。例えば、65歳時点で2,000万円相当の不動産を所有し、売却します。25万円ずつ生活費に充てると80か月分。その分、年金を繰り下げ受給します。健康状態と相談しつつできるだけ売却も遅らせたいところです。


3.二極化


*年収

 ここ20年の平均年収は横ばいです。しかし、格差が大きくなっていることは実感としてあるでしょう。億り人、宇宙に行ける人、・・・。身近なところでは勤務する企業の大小によっての格差がより顕著に表れてきていると感じます。
コロナでも大企業は倒れませんが、中小や個人は倒れます。倒れた会社に勤めているとキャリア・年収はリセットされます。私も5回転職しましたが転職のたびにリセットでした。日本はまだまだリスタートしにくい国です。
この点から不動産で準備できることは買える時に買っておくことです。勤続年数や年収が安定しローンが組める時期にきちんと将来のことを考えておきましょう。

*不動産

 少子化が進み物件余りになると言われています。現に空き家が社会問題になっています。不動産の二極化も進んでいきます。具体的には従来の利便性重視に回帰していきます。駅から近いところ、生活に便利な場所、病院に通いやすい場所・・・。  
コロナでリモートに適した郊外物件が人気になっていますがご注意ください。
・リモートが根付くのか?
・そもそもその会社にずっと勤務できるのか?
郊外に家を買うなら、同時に都心に仕事用のワンルームでも買っておくと「マシ」だと思います。リモートが続かなければ単身赴任に活用。家族は安い郊外の家で暮らし、自分は都心のワンルームで仕事する。リモートが本当に続くならワンルームは賃貸に回せば良いですね。
この点から不動産で準備できることは応用や使いまわしのできる物件を選んでおくことです。

 少し将来を考えてみただけでも不動産の有用性が再認識できると思います。
資金調達する方法は、「収入を増やす」「支出を減らす」「借入をする」「もらう」などありますが時間もかかります。早めに真剣にスタートしていきましょう。
 スタートするにあたって踏まえておくメリット・デメリットについて次章で考えていきます。



Ⅰ.リスクとリターンの関係性


1. リスクとリターンの関係

リスクとリターンは「比例」関係です。ハイリスクハイリターン、ミドルリスクミドルリターン、ローリスクローリターン。そして、ノーリスクノーリターンです。
不動産はミドルリスクミドルリターンに位置しています。

・不動産

不動産の種類別にリスクとリターンの関係を考えると東京都心の新築ワンルームマンションのようなピカピカの物件がローリスクです。ただし、みんなが欲しがりますので値段は高いです。要は需要と供給の関係で値段が決まっています。

2.リスクとは


(1) リスクとは不確実性



人間はなぜリスクを恐れるのか??


     少し考えてみてください



答え 動物だから

*経済学的に下記のように説明されています。
・「プロスペクト理論」
人間は損失を出す状況を回避しようと行動する

・「現在バイアス」
今が重要に思え、その分、将来が小さく感じてしまうこと
現在の楽しみを優先してしまう

わざわざ理論と言われなくても本能的にリスクは避けるはずです。動物なので絶滅するわけにはいかないからです。

(2)リスクの実害は損をすること

 
では、どんな状態が「損」なのでしょうか?
具体的には
・CFがマイナス
・所得がマイナス
・値下がりした
・落ち着かない
自分自身にとって快適でない状態が「損」と言えるでしょう。
そして、「損」をどこまで受容できるかは個人個人によって差があります。
自分のリスク許容度について知っておきましょう。

(3)自分のリスク許容度

性格や家族・資産状況により異なります。

*投資や資産運用はむりやりに行うものではありません。
「一切、運用はしない」、「ひたすら働く」、「ひたすら節約する」のもひとつの方法です。収支の範囲内で身の丈に合った生活を送り続けるのも選択肢のひとつです。
自分の状況に応じて考えましょう。


3.リターンとは


(1)成功の目安

リスクに続いてリターンについて考えていきます。
リターンはメリットとも言い換えられますし、目標ともなるものです。どのくらいを目指していけば良いのでしょうか?

①ストックとフロ―の両立
まずは自分の目標を設定しましょう。  
例えば、「65歳で純資産1億円 CF1,000万円」といった具合です。
金持ちの定義は多数ありますが、ストックとフローのどちらも必要だと思います。
可能ならば両立を目指しますが、まずはストックを目標にするのが現実的でしょう。

②純資産
純資産=総資産-総借入
徐々に純資産を増やしていくイメージです。
当初は借入額と資産額が同レベルからスタートしてもバランスを改善していきます。詳しくは次のステージ戦略にてご紹介します。

③CF(キャッシュフロー)
所得よりもCFを重視します。投資は経営です。見かけの所得よりもカネが回ることが重要です。キャッシュフローと所得について改めて違いをおさえておきます。

CF=総収入-総支出
・減価償却は含まず
・借入返済 元金、利息 含む

*所得とCFの違い

所得=総収入-経費
・減価償却含む 借入利息含む
・借入返済 元金含まず

(2)目標値を設定する

 私の不動産投資を活用した最低目標を例にします。
「65歳で純資産3億円、キャッシュフロー月150万円」。これに向かう過程をおおまかに4つにイメージしました。最終目標とともに次のステージを意識した戦略を練っています。

*ステージ戦略

ステージ1:ハイリスク期
・借入≧資産
・インカムだけは膨らむ
・CFとストックは厳しめ

ステージ2:改善期
・借入<資産
・インカムは維持または増加
・キャピタル発生 頻度は多め
・CFが増え始める ストックは厳しめ

ステージ3:安定期
・借入が資産の半分以下
・インカム減少
・定期的なキャピタル
・CFは維持 ストック増加

ステージ4:成熟期
・減価償却終了
・借入金減少
・相続対策
・不動産投資自体の出口も考える

Ⅱ.不動産投資のリスク


1.メリットのおさらい

(1)レバレッジ効果

借入が利用できる

(2)生命保険効果

団体信用生命保険がついてくる
家賃が保険代わり

(3)インフレ対策

不動産はインフレに強い資産

(4)老後対策

年金の不足分を家賃で賄う
資産を売却して一時金

(5)節税効果

所得を落として奨学金や助成金の対象に
サラリーマンのみならず主婦や老後にも有効

(6)相続対策

現金や金融資産と比較して評価額を下げられる

2.リスク

(1)空室

・ライフスタイルの変化
・少子高齢化
・老朽化
・管理不備

対策
①物件をきちんと選ぶ
 自分の指標を持つ
②入居管理会社をきちんと選ぶ
 隣接した同じようなアパートでも入居率は違う
③中長期スパンで考える
10年所有したうち8年間入居すればOK
④欲張らない
 損しなければOK

(2)修繕・維持費

対策
①修繕例・相場を知っておく
・原状回復 ワンルーム15万円 ファミリー40万
 (入居時の補修  クロス貼替など)
・フルリノベ ワンルーム200万、ファミリー300~500万
・エアコン 6畳用で7万前後
・給湯器  ワンルーム 8万円 ファミリー20万円
・電気温水器 25万円
・水漏れ  階下の部屋・商品、共用部に損害を与えると損害賠償
・屋根外壁 一棟ものは10年毎に防水工事など
・管理費修繕積立金の値上げ
・修繕積立金不足による一時金負担

②火災保険
充実した補償内容 破損汚損
③設備保証
修繕費用と比較
④物件
・広さ    狭いほうが修繕費用は安い
・構造    丈夫な物件を選ぶ
・築年数   新しいほうが修繕や故障の確率は低い
・家賃   家賃が安いと修繕で利益は吹っ飛ぶ
・戸数   少ないと修繕積立がアップの可能性
・家賃   下がらない物件

(3)将来性

・売却損
・値下がり
・物件の老朽化

対策
①売却予想額とローン残高の比較を
・5年、10年、20年、30年
・定期的に精算バランスのチェック(時価)
②売却損益の試算をしておく
 減価償却費と譲渡益の関係
③選択肢を知っておく
・譲渡
通常売買
 リースバック
 贈与

・所有継続
 ずっと貸す
 ただで貸す
 自分で使う
 リバースモーゲージ


*悪徳不動産業者の「売りませんか攻撃」に注意

 最近のトーク
・「買いたい人がいます。いくらなら売却してもらえますか?」
 →客なんていない、結局は相場前後に落ち着かされる
・「古くなっているので早めに手放しておいたほうが良いですよ」
・「耐用年数まで期間がなくなると売れなくなりますよ」
・「もっと価格が下がりますよ」
→反論すると逆ギレする業者が多い傾向
・いきなり訪問してきて売るまで帰らない業者もいる

(4)金融リスク

・金利上昇
・銀行が買収される
・銀行が方針転換する
・自己資金を出し過ぎると手元資金枯渇し緊急時に資金手当てできない
・火災保険料値上げ

対策
①定期的に金融機関を訪問し状況確認
②定期的に金利交渉
③火災保険を10年契約に切り替え 保険金額の見直し

(5)天災・事故

・水災・大雨
・人災 熱海土石流
・事故物件
・火災保険料値上げ

対策
①火災地震 雨は上からは補償対象外、下から溜まると対象
・物件所在地を分散
・構造重視
・保険加入
・物件が少ない場合は空室補填の補償も検討


②自殺・自然死
・管理会社にあらかじめ緊急時のノウハウを確認
・早期発見 特に夏場
・賃貸時はワンクッションで告知義務なし
・法改正の動向に注意

3.不動産投資の出口


(1)目標年収の設定


・年金見込み額チェック
・年金ネット
・年金定期便

*目標不足分を不動産収入で補う

例)生涯、年収1,000万円は確保したい

基本パターン
老齢年金 20万円×12カ月=240万円
不動産収入 年間760万円(1億円分 利回り7.6%)

*年金額を増やす

・繰り下げ受給
70歳
年金 28.4万円×12カ月=340万円
不動産収入 660万円 (8,684万円分 利回り7.6%)

75歳
年金 36万円×12カ月=432万円
不動産収入 568万円(7,473万円分 利回り7.6%)

*法人を設立して厚生年金を増やす
・会社役員は社会保険が優先
・国保・国民年金と比較
・費用と比較 法人設立費用、ランニングコスト
・75歳の後期高齢者まで可能

Ⅲ.物件別のリスク管理

1.物件の分け方から考えるポイント

(1)築年数から

新築と中古・築古

新築
①手元資金がない・使いたくない
②FIREまでは考えない
③節税したい
④ほったらかしがいい
⑤背中を押して欲しい
⑥借入ができる属性(普通)
⑦家賃保証・設備保証ある場合も
⑧落ち着いて検討できる
⑨減価償却 小

中古・築古
①ある程度の手元資金がある
②FIREも視野に入れたい
③節税したい
④きちんと管理できる
⑤自分で決断できる
⑥借入ができる属性(高め)
⑦家賃保証・設備保証なし
⑧物件は奪い合い
⑨減価償却 大

どの切り口にも言えることですが、どちらが良い悪いではありません。マッチングの問題です。属性や性格、時機・・・、ご自身や顧客に合ったものを考えましょう。



*新築ワンルーム業者について

「再現性」を確保するためには信用できる不動産会社を選ぶこと
巻末の物件の探し方と合わせてご確認ください。

会社のポイント
・「紹介が多いか」
・「自分が話を聞いて楽しいか」
・「しつこくないか」
・「客観的な事実と相違していないか」
・「悪い評判はないか」
・「セミナー参加を高額商品券などで釣っていないか」

ネットで情報を集め、別の不動産会社や金融機関、既存の顧客、外部の専門家に評判や意見を訊いてみましょう。セミナーがあれば勇気を出して参加してみましょう。
「百聞は一見にしかず」、セミナーもいくつか聞き比べてみましょう。

講師のポイント
・「自社の営業マンか否か」
2室所有しているだけの自社の営業マンがコンサルタントと称して講師
・「物件所有の有無」 
FPや税理士でも物件所有していない講師
・「収入面だけを強調していないか」
家賃収入だけ強調、CFや所得に触れない講師
・「現在進行形かどうか」
金融情勢や価格などの変化に触れず過去の成功体験だけを語る講師

当然、講師は不動産会社からの依頼で話をしています。考慮しつつ受講しましょう。


(2)資金調達から

・提携金融機関
・一般金融機関
・都銀
・地銀
・ノンバンク
・政策金融公庫

最近は資金調達が非常に難しい時代になりました。
スルガ銀行の過剰な不適切融資に象徴されます。コロナも影響し金融機関は新規の貸し出しよりもゾンビ化資金の手当てに忙しくしています。また、交代出勤、リモートワークなどで取り扱い案件量が激減しています。
一般の金融機関で融資を受けるにはかなりハードルが高い状況です。都銀・地銀などは物件価格の3割+諸費用が目安です。ノンバンクでも1割+諸費用+共同担保とかなり厳しめです。
「借りやすさ」から考えると「提携金融機関」です。不動産会社が提携している金融機関で、オリックス銀行やイオン銀行が代表格です。サラリーマンを続けていれば回収はできるだろう、という程度までが融資上限で年収の10倍が目安です。住宅ローンや他の借入も合わせて10倍です。例えば、年収1,000万円で住宅ローン残高が5,000万円だとするとワンルームマンション2,500万円×2室くらいが限界のイメージです。
金利は同じ銀行でも提携している不動産会社によって違います。不動産会社の業歴や取引歴、販売力、信用力が高いほど金利は低くなります。
現在は個人と不動産会社の属性、扱う物件によりますが1.3%~2.3%程度です。
期間もバッチリ35年確保できます。中古物件であっても耐用年数を超えても融資が可能になりつつあります。

日本政策金融公庫は政府系の金融機関です。以前は国民生活金融公庫という名称でした。現在は株式会社になっています。こちらもコロナの資金繰り融資で大忙しです。一般案件については厳しくなっている気がします。1,000万円までの少額融資を得意とし、スタートアップの信用力の低いときに頼りになる金融機関です。借入期間が短く無担保だと7年が最長です。

不動産融資については物件価格が上昇しているためCFが出にくい状況です。
リーマンショック後に不動産価格が暴落していた時は実利15%で物件を買っていました。この時は7年で借りてもCFが出ましたが、現在は実利が半分、つまり物件価格が倍に上昇しています。短い借入期間ではCFは出ません。
転売益が見込める物件か無担保で借入をして共同担保に使うか、が現実的です。

同じ金融機関でも支店・担当者によって結果は変わります。どこを選ぶにしても地道にコツコツと自分と物件の資料を持ってあたってみるしかありません。

(3)構造から

・SRC RC
・鉄骨
・木造

耐用年数がRC47年・鉄骨29年・木造22年です。融資の判断に影響します。
そして減価償却に影響します。「RCがアクセル、木造はブレーキ」なんて言い方もします。RCのほうが家賃が高く、同じ家賃ならRCから埋まっていきます。住むなら丈夫なほうが好まれるからです。建築費は当然、RCのほうが高いので個人がそこそこの規模で新築一棟を買うのはハードルが高くなっています。築古物件で解体を視野に購入する際は解体費用も高額になりますので注意が必要です。
また、木造特有の懸念としてシロアリがあります。なかなか定期的な薬剤散布などの予防はできていません。いち早く発生を知って、薬剤や工事での駆除、リカバリーで被害を最小限に抑えたいところです。


(4)形態から

・一棟
・ファミリー区分
・ワンルーム
・賃貸併用住宅

一棟ものは積立です。例えば、部屋数が8室のアパートだとします。1室退去すると原状回復費用、空室で家賃なし、入居の広告費用がおそってきます。他の7室についてもエアコン交換、換気扇、トイレの不具合・・・、細かな修繕が発生します。一棟ものは金額も大きいので借入で購入していることが多く、返済や固都税(固定資産税と都市計画税)などを差し引きした後からそれらの費用を負担すると「今月はマイナス!?」みたいなことも起こります。ただし、返済の元金部分は資産形成されているハズなので積立とみなして耐えます。売却時に報われるよう祈りながら過ごします。
ワンルームは手軽で流動性も高いです。しかし、金融機関から見た担保力は低く資産性に乏しい面があります。首都圏や大阪・京都の都心部以外の物件は新築からの値下がり幅が非常に大きいので注意が必要です。
ファミリー区分は家族で住むため長期間住む傾向があります。退去時に実需物件として売却すると売却益も出やすいです。もちろん、いつ退去するかわかりませんのでそれまで持ち続ける余裕は必要です。賃貸を続ける際は広い分、原状回復工事に費用がかさむことにも注意です。

(5)用途から

・事業用
・居住用

 事業用の物件はまずは業種と人物に注意です。自営業者はサラリーマンよりもたくましいです。商売にからんでいろいろな取引先も登場します。夜逃げ、騒音、匂い、業績不振・・・。居住用物件には無いトラブルも発生します。事業用物件は入居者が内装を負担し撤去して返却する契約が多くなっていますのでオーナー側の工事負担は少なくなります。天井付けの業務用のエアコンは一基50万円~100万円かかります。エアコンの負担も決めておきましょう。
商業地は固定資産税の評価額が高いため固都税も高額のケースが多く、火災保険についても火を使う飲食店は高額になります。また、事業用物件は消費税を上乗せして請求します。オーナーが非課税業者であればその分もらい得になりますが、消費税込みで値段交渉してくることが多いでしょう。
 居住用の物件はどんな人が住むか、となります。家賃が低いところは延滞や夜逃げ、トラブルの可能性は高くなります。

(6)場所から

・郊外
・都市部

リスクとリターンの関係を思い出してください。
特区で需要が見込める、新しい駅ができる、商業施設ができる、などの要因がない限り郊外でリターンを得ることは難しくなります。

(7)階数から

 通常は上に行くほど家賃が高くなります。
・四階以上 EV維持費 EV無物件の4階以上は決まりにくい 虫が出にくい
・二・三階 階段で上がれる
・一階   防犯面、眺望などから人気がなく上階より割安 高齢者は喜ぶ

(8)管理から

・家賃保証と設備保証
・建物管理と入居管理

新築ワンルームや新築一棟に代表されるように家賃保証(サブリース)や設備保証がついている物件があります。それぞれの契約条件をよく確認します。小さい文字も見逃さないように。家賃保証、設備保証がついていると、問題はそれが継続されるか、になります。つまり、その会社が存続するのか、です。これについては業歴や規模などから判断するしかありません。もし、サブリースがなくなったとしても収益が見込める物件なのか?は精査が必要です。
マンションの場合、管理会社は2社登場します。建物全体を管理する建物管理会社と個別の部屋の入居を管理する自分の取引先である入居管理会社です。建物管理会社は大手管理会社が行っているケースが多く、安心感がある一方で、なかには「テキトー」な仕事ぶりのケースもあります。例えば、元占有者が滞納していた水道料金を半年後にオーナーに請求してきたり、共用部分のリフォーム代金が明らかに高かったり。
そのため、マンションの資産価値を守るため、管理費修繕積立を抑えるために建物管理会社に依頼せず住民による「自主管理」を行っているマンションもあります。一見、良さそうですが理事長などが管理組合を私物化する懸念があります。

・管理会社規模
大きければ良いというわけではありません。独自のネットワークで運営している大手管理会社もあります。基本的にサブリースをしている物件は原状回復や管理が杜撰になりがちです。サブリースを解約して物件を見たらボロボロ・・・、になりかねません。 
また、大手は制約が多く、働いている人も「サラリーマン」です。時間で働く人が多いので物件に競争力がないとつらい面もあります。
 中小の管理会社は融通がきいたり、地場でのネットワークを持っています。例えば、市役所から生活保護を紹介してもらう、などです。各地域で狭い業界なのでお互いに協力しながら仕事をしています。
問題は善良な中小の管理会社をどう見つけるか?です。不動産仲間から紹介してもらう、小さな物件でお試し、などが有効です。物件を買うときに家賃相場や土地勘など相談できる存在でもあります。

(9)入居者から

・一般個人
・法人契約
・生活保護

 法人契約は法人が契約者なので一般個人よりも支払能力が高く延滞になりにくく、オーナー側からするとありがたい契約です。実際の入居者は入れ替わるケースが一般的です。一方で、現在の入居者が誰か不明でトラブルになることがあります。火災保険が失効していたり、水道料金がオーナー経由での支払になっているなども注意点です。
生活保護はオーナーによって好き嫌いが分かれます。周囲の評判や使用状態を気にして回避するオーナーも多いです。逆に、役所から管理会社に直接振り込みになる安心感や定期的な見回りによる孤独死などのリスクヘッジ、長期入居を期待するオーナーもいます。敷金礼金、引っ越し代、エアコンなども条件によっては賄えるケースがあります。地域と世帯人数で上限額が決まっています。例えば、福岡だと一人暮らしは37,000円です。家賃相場30,000円のアパートでも37,000円で入居が決まることもあります。生活保護に適した物件であると高利回りに再生することも可能です。


(10)規約から

・事務所可
・ピアノ可
・ペット可
・高齢者可
・二人入居可

一般的には入居付けに苦しい物件は制約が緩くなっていきます。
少子高齢化が進んでいます。単身世帯が増えてペット可の物件の人気が高まることが予想されます。しかし、高齢者の一人暮らしでペットを飼われるとリスクがあります。それだけにペット可の物件は希少です。
どの規約にしても、単に入居者が入らないから規則が緩いのか、そうでないのかを見極めることが必要です。

(11)買い手の形態から

・個人
・法人

個人と法人の使い分けのメリットは税制面と金融面です。税制面は譲渡益、どちらが得か。金融面は借入できる個体がひとつ増えることになります。個人の譲渡所得税は長期20%、短期39%の分離課税、しかも物件毎です。
これと法人の場合を比較します。
法人税もなんだかんだ同じような金額になりますが、法人は総合課税です。物件売却益が出ていても他で損失が出ていれば通算できます。
つまり、累積赤字の額まで利益を出しても大丈夫ということです。譲渡益の節税のみで法人設立する場合は決算費用、法人住民税の均等割などのランニングコストも踏まえて検討しましょう。早期に売却する可能性がある物件を購入するときは法人で購入するほうがベターだと言えます。


個人・法人の組み立て例

(12)売り手の形態から

・不動産業者
・一般個人、法人
・任意整理など

 売主が事業者なのか個人なのかによって、まず手数料が異なります。売主物件には仲介手数料がかかりません。その代わり、利益が価格に含まれています。一見するとトクに見えることもあるでしょうが、トータルでどうなのかを考える必要があります。また、物件の契約不適合責任の有無も変わってきます。業者が売主の物件は新築でも中古でも存在します。業者売主以外は一般の個人や法人が売主になり、業者は仲介をすることになります。仲介手数料は「上限」が決まっているだけですので可能であれば値引き交渉を忘れずに行いましょう。
一般の個人や法人が売主のケースでも特殊な事情を抱えていることがあります。任意売却などで換金しなくてはならないケースなどです。売却する価格に金融機関や債権者の同意が必要であったり、親族に隠して売却を望んでいたり、現金化する時期が決まっていて急いでいたりします。情報は金融機関や不動産会社経由で入ってきます。ネットなどではなかなか出てきません。この場合は債務者がそのまま入居者となって住み続けることも多くあります。リースバックの一つのパターンです。相場より安く買えますが、家賃も相場より安くなりがちです。買戻しや空室時の転売を見据えたキャピタル重視の投資と言えます。
 家賃は安いですが修繕費用や火災保険などは債務者が負担する契約が多く、購入者にとっては安定収入となります。魅力がある反面、債務者が物件をどのように扱うかきちんと生活を続けるか、などの不安要素もつきまといます。

(13)入居状況

・所有者居住中
・オーナーチェンジ
・空室

投資物件については空室のほうがオーナーチェンジよりも高値になる傾向です。部屋の状態が確認できないためです。オーナーチェンジのみ室内を内覧することはできません。反面、オーナーチェンジの場合すぐに家賃収入が入ってきますので購入時点では入居広告費や修繕費用はかかりません。当然、購入してすぐに退去になる可能性もありますし、その際に室内がボロボロ、という心配もあります。
また、昔の高い家賃のまま居住しているケースだと入居者の入れ替わりによって見込んでいた利回りにならなくなります。不動産会社が売主の場合など相場家賃よりも高い家賃で埋めるだけ埋めていたりしていることもあります。相場家賃で利回り計算するようにしましょう。
 空室の場合は室内をチェックできますが、リフォーム費用がどのくらいかかるか慣れるまでは業者に同行してもらったり、写真や図面で相談したりして購入価格を間違えないようにしましょう。



2.今、検討できる物件のポイント

(1)中古:5年後に購入価格以上で売却できる

  実利10%、安定物件なら7%~
  築古でも場所と広さ優先 リフォーム済

(2)明らかに売り急いでいる

・外国人が所有
・年末・期末・相続
・任意売却

(3)借入で収支トントン

 FIREはキビシイがやらないより100倍マシ



3.物件例

あらためて、リスクとリターンの原則は「比例」でした。

・ローリスクローリターン
・ミドルリスクミドルリターン
・ハイリスクハイリターン


・ノーリスクノーリターン


利回りについて
・表面利回り
年間家賃収入÷物件価格
・実質利回り
 (年間家賃収入-管理費修繕積立)÷物件価格
・純利回り
 (年間家賃収入-管理費修繕積立-固都税)÷(物件価格+取得費用)

ここでは一般的に投資で使われる実質利回りを基準に考えていきます。

以上を踏まえて、いよいよパターン別に物件を見ていきます。

(1)新築ワンルーム 東京都江東区  2021年7月


家賃保証 設備保証   家賃の10%(キャンペーン5年5%)
提携金融機関      1.3%~2.2%
全44室

利回り(7F A1タイプ)
表面89,000円×12÷2,730万円=3.9%

サブリース (80,100-6,020-1,020)×12÷2,730万円=3.2%

CF(80,100-6,020-1,020)-80,939=▲7,879



同地区の中古物件との比較

家賃保証 設備保証なし
表面利回り  79,000円×12÷1,980万円=4.8%
実質利回り (79,000円-5,700-5,130)×12÷1,980万円=4.1%
提携金融機関なし


比較
物件価格   1,980万円
    新築例の10年後のローン残高  2,072万円

CF       (79,000円-5,700-5,130)-70,519=▲2,349円
新築例のCF(80,100-6,020-1,020)-80,939=▲7,879円

・築年数
・家賃保証
・設備保証
・金利

*値下がりについての考え方 ~売却シュミレーション~

2,730万円の部屋を20年後に売却するとどうなるでしょうか?
値下がりしなかったケースと20年後に2,000万円になったケースの概算です。
2,730万円の内訳は土地1,000万円、建物1,500万円と仮定します。
すると減価償却費は1,500万円÷47年=32万円×20年=640万円です。

・値下がりしなかったケース
2,730万円-2,730万円+640万円=640万円×20%=譲渡税128万円
20年後のローン残は1,323万円ですので
手残りは2,730万円-128万円-1,323万円=1,279万円です。
・2,000万円になったケース
2,000万円-2,730万円+640万円=-90万円 譲渡税ゼロ
20年後のローン残高は1,323万円ですので
手残りは2,000万円-1,323万円=677万円です。

このように減価償却の影響を受けますので単純に値下がりした分が損というわけではありません。建物価格がいくらの設定になっているのかがポイントになります。そのあたりまで見通して、ある程度の値下がり幅を踏まえて考えましょう。



(2)中古ワンルーム


①大阪市中央区 ワンルーム 2021年7月

提携金融機関あり 1.975% オリックス銀行 イオン銀行
想定利回り 表面 5.6%
      実質 4.8%

ポイント
・提携金融機関で融資が可能
・CFトントン 65,000-3,800-6,100-毎月返済額45,537円=9,563円
・家賃保証なし
・設備保証なし
・安定物件
・1,380万 35年 金利1.975%の借入残高推移
10年後      1,077万円
20年後       709万円
30年後       260万円


②福岡市東区 1K 2021年1月

交渉後 380万円  実利 8.1% 現金購入

ポイント
・新築時 2,350万円
・風呂トイレ別
・20㎡以上
・オートロック
・駅徒歩圏内
・住みやすい地域
・やや戸数が少ない

(3)中古ファミリー区分


①福岡市博多区 1LDK 2020年12月

ポイント
・リフォーム済
・博多駅徒歩圏内
・5か月前1,250万円 売主の決算で値下げ、ネットで投資用には出ていなかった
・実質利回り 6.6%
・交渉後   950万円  実質利回り 8.9%
・購入後   家賃8万円で入居
②福岡市博多区 2LDK→1LDK 2017年6月

ポイント
・博多駅 中州徒歩圏内
・高層階 10階
・事務所可


リフォーム前 家賃8万円
リフォーム後 家賃11万円

リフォーム内容
2LDK→1LDK+WIC
総額415万円
政策金融公庫で調達
20年1.5% 月額返済2万円

3年前1,050万円
→現在の売却相場
リフォーム前1,900万円
 リフォーム後2,300万円

③福岡市中央区 2DK 2021年7月

値段交渉後 850万円 現金で購入
表面利回り 9.3%
実質利回り 7.6%

ポイント
・ペット可 小型犬・猫 1匹 10㎏まで
・場所   福岡の人気ゾーン 大濠公園と西公園に挟まれている
・駅徒歩圏内
・退去後の出口が見えやすい
1LDKにリフォーム 実需で売却 家賃を上げて賃貸
ネコを意識したリフォーム   キャットウオークなどで付加価値アップも検討

(4)一棟


①福岡県直方市 2戸 2020年12月

・個人が現金で購入を検討
600万円
表面利回り 18%
家賃45,000円×2室

・500万円で交渉
表面利回り 21.6%

 交渉は決裂しました。合意できなければ無理に買う必要はありません。
土地付きの物件は土地値は最終的には回収できるので建物だけで利回りを計算する考え方もあります。モノとしての評価(積算価格)と収益としての評価(利回り)の両面から検討しましょう。


②茨城県竜ケ崎市 6室 2020年12月

茨城県竜ケ崎市 アパート 800万円
全部空室  表面利回り0%

ポイント
・穴場の町
・値段交渉

個人が現金で購入 交渉後600万円

家賃25,000円×6室=15万
年間家賃 180万
全部 空室   →   満室 表面30%   →15%で売却すると1,200万円
③名古屋守山区一棟 2021年7月

2021年7月新築。木造9室。

借入
総事業費 9,160万円
自己資金  650万円
借入   8,510万円
(オリックス銀行、2.4%、35年)
家賃 約58万円
返済 約30万円
サブリースなし

ポイント
・提携金融機関で融資可能
・購入者 サラリーマン 初めての収益物件 法人設立して融資
・借入残高 10年後 6,756万円 20年後 4,526万円 30年後 1,693万円


*参考 投資物件の探し方

不動産物件は何回も買う人は少ないです。そのため、どうやって探して良いか全くわからない、探し方が合っているのか、という方が非常に多いです。
探し方とその際の考え方についてご紹介しておきます。

1.千3つ(せんみつ)
 まずは不動産物件を探すのは大変だと理解してください。不動産物件は「千3つ(せんみつ)」です。これは千件見て検討できそうなものが3件、つまり0.3%しかないことを意味した格言です。さらにその3件も細かい条件を確認していくと合わなかったり、競合がひしめいていたりします。
 不動産会社に行けば好みの物件をいくつか紹介してもらえて自分に有利な選択権がある“お客様”で臨まれる方も多いですが全く違います。数億円の資産がある方は別ですが「家は一生に一回の買い物」などと言っているような一般人は相手にされません。時間がかかるだけで決断も遅い一般人は不動産業者にとって上客ではありません。運良く快く対応してくれる不動産業者にあたったら大事に付き合ってください。
次は物件の取り合いです。物件の購入は文字通り一分一秒の勝負です。基本的には早い者勝ちで全国の強者どもが目を皿にしてチェックしています。少しでも割安だと一瞬で売れます。意思決定ができないと業者にも見放されますので注意しましょう。

何のつてもない方の物件の選び方は下記の通りです。
①ネットでひたすら物件検索し相場観を養う。
毎日3時間、3ヶ月くらいやれば特定の地域の相場観はある程度つかめるでしょう。
②気になった物件を掲載している不動産業者に問い合わせる。
まだその物件はあるのか、物件を見られるのか、値段交渉できるのか、などを確認します。どんな業者か分かりませんので勇気が必要なタイミングかもしれません。客寄せのダミー物件を載せていたり、しつこく営業してきたり、などという業者にあたったら仕切り直してください。ズルズルと付き合ってはいけません。

③物件を見て値段交渉
ネットでは良く見えたけど現物はイマイチ、なんてことはザラです。物件だけでなく周囲の状況も含めて確認です。土地の高低差や騒音など。抽象的になりますが特に“雰囲気”や“フィーリング”は大事です。良い物件でも値段が折り合わなければまた仕切り直しです。対応してくれた不動産業者がきちんとしたところならば自分の条件や希望などを伝えて協力してもらえるようにしておきましょう。
④買い付け
現物を見て良ければ買い付け=申込を入れます。この時に自分の希望価格を記入し値段交渉に入ります。あまりに低い金額を書くと売主の心象が悪くなり「こんなヤツには売らん」となるので仲介不動産業者の意見など参考にしてください。
⑤資金準備
買い付けと同時に資金準備です。現金の方は特に準備することはありませんが、借入の場合はローンの事前審査に入ります。地域や不動産業者によりますが買い付け順に交渉権が得られる場合と資金準備できた順、金額が高い順に交渉権が得られる場合があります。
競合に負けたり、ローン否決になったり、売主が売るのをやめたり、いろいろなケースもあります。その際はまた仕切り直しです。
ローンは物件面と申込人面の審査になります。いったん審査を入れておくと次の物件でローン審査にチャレンジする際に申込人の部分は少し時間短縮となります。中古の場合、物件はその都度の査定となりますのでできるだけ資料をそろえて金融機関の負担を減らすのがせめてもの時間短縮です。

いかがでしょうか?
これの繰り返しです。やっと見つけた物件でもうすぐ買えそうだったのに・・・、
という話はいくらでもあります。この後もローンが実行されて決済が完了するまで気が抜けません。
 働きながら物件探して、見に行って、ローン審査して、また買えなくて・・・、
っと考えると相当な負担になります。その中で少しだけラクができる仕組みがあります。それが「提携不動産業者」です。



2.提携不動産業者
(1)提携不動産業者
金融機関が特定の不動産会社が扱う物件であれば融資手続きを簡略化している仕組みです。物件の価格は販売価格が査定額となりますし、申込も不動産業者経由で可能ですのでいくつも金融機関をまわる手間もかかりません。
金融機関は基本的には不動産会社を信用していません。最近でも顧客の年収証明の改ざんなど問題になりました。そこで、“きちんとした不動産会社、その紹介物件は貸し出しをがんばります”ということです。中小不動産業者や中古物件でも取り扱い可能ですが、代表的なものが新築ワンルーム販売会社です。

(2)新築ワンルーム業者
新築でもあり割高感は否定できません。しかし、ライバルは同じ会社で話を聞いている人だけになりますので相当買いやすくなります。では、星の数ほどのワンルーム販売会社からどこを選ぶのか?ポイントはいくつかありますのでご自身の優先順位でお考えください。

①収支
 何と言っても収支は大事です。家賃から経費を差し引いていくらになるか、ですね。持ち出し=悪ではありません。例えば、2万円×35年=840万ですが35年後にその物件が2,000万円で売却できるなら有利ですね。問題なのは月2万のマイナスで3室買った。子供が大きくなってカネがかかって賄えなくなった、というケースです。より収支が良いほうが安全ですね。
②金利
収支の一部ですが大事なポイントのため別項目にします。金利はみんな同一ではありません。申込人の「属性」によって違います。年収や勤務先、勤続年数などを属性と言います。属性が評価されると低い金利で借り入れができます。
 そして不動産業者にも「属性」はあります。同じ銀行でも不動産会社が違えば金利が違ってくるケースがあります。不動産会社の規模や取引件数、取引歴などで差があります。事前審査をすれば金利は分かりますので確認してみると良いでしょう。投資用ローンであれば現在は変動1.3%~2.5%くらいの範囲かと思います。
45年ローンや団信(団体信用生命保険)にガン保険なども選べる銀行もありますので総合的に検討しましょう。
③特徴
 会社によって扱う物件の特徴が違います。高価格帯だけど都心、中価格帯で首都圏など。場所や設備のこだわりなども確認しましょう。
④家賃保証と設備保証
 新築ならではのメリットです。家賃保証に加えて設備保証も準備している会社もあります。「コスパ」と安心感で検討しましょう。特に設備保証がある会社は貴重です。あれば利用する方向で検討されると安心感は増すでしょう。
⑤会社
 大きさや営業スタンスなど、しつこい電話営業や街角アンケート業者は要注意です。話を聞く前に“断ってもしつこくしないか”を確認しておきましょう。また、提出書類の改ざんを勧めるような業者は論外です。金融機関と業者とのやり取りの中で不審点がないか注意しておきましょう。
⑥担当者
 話していて楽しいか、信用できるか、です。投資物件は何件も買うケースが多くなります。この担当者と付き合っていきたいか、は意外と大きな要素です。自分が不動産を拡大していくのと、担当者が出世したり独立して事業を拡大したりするのとリンクしたりするとお互いに嬉しい感じがしますね。

3.まとめ
・労力かカネか
・ベストはない、ベターを
・意思決定の準備を

この記事を書いたプロ

竹下昌成

不動産投資の経験豊富なお金のプロ

竹下昌成(竹下FP事務所)

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