お墓のデザインコンテスト「墓石大賞」受賞5度の実績
よくお墓の横に、亡くなった方のお名前などを記した石の板、いわゆる「霊標(墓誌)」が設置してあります。お墓を建てられる方の中には、特に必要ないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、今回はこの霊標(墓誌)の役割と必要性についてご説明したいと思います。
霊標(墓誌)は家の歴史を伝えていくものでもある
霊標(墓誌)とは、故人の名前や戒名等を刻むための石碑で、宗旨・宗派や地域によって「霊標」「墓誌」「法名碑」「戒名板」など呼び方が異なりますが、“故人の名を刻む”という目的では同じです。
霊標(墓誌)は、お墓に入っている方の名前や戒名、亡くなられた年月日、行年(享年)ほか、続柄や略歴などを記録するためのものとして建てられています。
お墓は永代に渡り供養するためのものでもありますから、そこに埋葬されている方の記録が彫刻された霊標(墓誌)があれば、後世に先祖とのつながり、家の歴史を伝えることにもなります。逆を言えば、自身をはじめとして子どもや孫の世代に、家系のつながりを一目で伝える石碑ともなります。いわば、家族の代々の記憶を刻む「記録帳」といった役割を持っているのです。
お墓はあるけれど、石塔(棹石)にはすでに戒名が彫られていて、新たに戒名を刻むスペースがない。
新たにお墓を建てるにあたり、子々孫々、大勢の人にお墓に入って欲しいので、それぞれの戒名を刻む霊標(墓誌)を設けておきたい。
お寺さんに預けている過去帳だけではなく、お墓参りした際に、家族の記録をすぐに見ることができるよう霊標(墓誌)が欲しい。
上記のような理由から、霊標(墓誌)を建てる方もいらっしゃいます。
霊標(墓誌)は、カタチやサイズに決まりがあるわけではないので、和洋を問わず、お墓のデザインに合わせて設置することができます。
霊標(墓誌)を建てるメリット
墓所・墓地によっては、石塔(棹石)自体に戒名を彫刻する場合があります。この場合ですと、霊標(墓誌)がなくても埋葬者の戒名やお名前を刻むことが可能ですが、一般的に仏式の場合、新仏様の戒名を石塔に追加で彫刻する際、それ以前にお寺から「お性根抜き(魂抜き)」していただいてから工事にかかります。
その点、霊標の場合は基本的にお墓ではないので、お性根抜き(魂抜き)は不要であることが多いです。手間がかからない上に、たくさんの戒名が彫刻でき、費用も抑えられるため、近年では霊標(墓誌)を建てる方が増えています。
大きさによっては多くのお名前を刻むことができる
実は霊標(墓誌)は、20~30年前まではあまりなかったものです。しかしそれが近年になって一般的になったのには、どんな理由があるのでしょうか?
一つは、先述したように石塔(棹石)に刻む時の費用や手間が省けるということがあると思いますが、個人的には何よりも、自身から後世へ伝える家族の歴史、また先祖代々受け継がれてきたその家の歴史が、霊標(墓誌)から垣間見えるからではないかと思います。
このように霊標(墓誌)は必ず必要という訳ではありませんが、お墓を建てる意義と同様、霊標(墓誌)には、ご家族の後世へ残したい想いも詰まっていると言えるでしょう。