墓地の種類「公営」「寺院」「民営」「共同」の違い
多くの方々は「墓石=御影(みかげ)石」と思われている事でしょうが、厳密に言えば「御影石」という石はありません。御影石(みかげ石)の名前の由来は、兵庫県神戸市で採掘される「本御影石(ほんみかげいし)」に起因します。(参照:http://www.kokusanboseki.com/production/cat_honmikageishi/)本御影石の採石丁場があった地域は、現在では国立公園指定の一部となっているため、今では採掘されていませんが、その石の当時の人気にあやかって「○○みかげ」「△△みかげ」という名前が付けられています。学名上は「花崗岩」や「安山岩」「斑レイ岩」なのですが、ここでは通称名の「みかげ石」で呼ぶことにしましょう。
実際に日本のお墓に使用されている石のほとんどが「みかげ石」です。もちろん、中には大理石を使われる方もいらっしゃいますが、今回は多くの墓石に「みかげ石」が使用されている理由と、原産地・色から見る国産墓石の種類についてお墓のプロならではの解説をいたします。
風化に強く耐久性のあるみかげ石
みかげ石はマグマがゆっくりと冷えてできた火成岩で、日本国内で産出されるものの多くは白と黒の粒が混ざったような見た目が特徴の石ですが、他にもピンク系、深緑系、茶系、黒系などさまざまな色の石があります。
この石の特徴は、第一に風化に強く耐久性があるということ。対して固く加工しにくいという点がありますが、永い時間、雨風にさらされても風化しないという最大のメリットは、永代続くべきお墓の存在意義としても重要な点です。
磨けば光沢が出ることからも掃除しやすい石と言えるでしょう。産地によっては粒子や色の違いがあり、家の外壁や公園の遊歩道などにも使われていますが、墓石に関しても落ち着いた白、グレー、黒などの色から、ピンクや緑がかったものなどでつくることもできます。
大理石の場合は、加工がしやすいため細かい彫刻を施しやすいのですが、みかげ石に比べ風化が早く汚れやすいということから、メンテナンスが難しいという点もあり、墓石として使用するには適した石ではありません。
原産地によって色合いもさまざま
みかげ石の採れる場所(原産地)によって、石の見た目(色合い)に変化が出ます。
基本的には白と黒の粒が混ざっていますが、粒の細かさや含有成分、また混ざり具合によっては、ほとんど白に近い色(岡山県産:北木石)のものや、石に含まれる成分が光を通し赤く(ピンク系)見える万成石(まんなりいし:岡山県産)などもあります。
ほか、中国やインドなど海外で採掘されるものによっても粒子の具合により濃淡の違いなどが出るため、ひと口にみかげ石といっても見た目や色合いによって全く印象の異なる墓石を選択することができるのです(参照:http://www.daiichisekizai.com/select/#anchor3260)。
みかげ石の産地について
みかげ石は世界各国で採石される石ですが、お墓に使用される石は必ずしも国産が良いというわけではありません。みかげ石は、中国、インドをはじめ、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガルなどのヨーロッパ、そして、南アフリカや南米のウルグアイなど、世界中のさまざまな国で産出されます。例えば私どもでも取り扱っている「アーバングレー」は世界有数のみかげ石産出国・インドで採掘されたものです。
インドで採掘される石材は、全体的に品質が高く、その中でも「アーバングレー」は硬い石質と、極めて低い吸水率で、優れた耐久性を誇ります。また国産材と比べると価格も比較的お手頃なため、人気の高い石でもあります。お墓づくりの際には、見た目の好みや耐久性、予算などに合わせてみかげ石を選ぶことも可能になっています。