お墓は要る!要らない?(2)「生と死の尊厳」の回復

能島孝志

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テーマ:先祖供養

(1) 近年における葬送の変化

〜上記のコラムからの続きです〜


薄れる「死の尊厳」


人間以外の動物たちも、家族や仲間が亡くなると、
亡骸(なきがら)に寄り添い悲しみにくれます。

しかし、人間とは異なり、葬儀を行うわけでもなく、
供養をするわけでもなく、またいつもの生活に戻ります。

だが、人間、特に日本人は、四十九日法要、一周忌法要、三回忌法要、
……三十三回忌法要と長きに渡り故人を忍び死者を弔ってきました。

葬儀は行わず、仏壇もお墓も必要なく、遺骨は海に散骨といった、
近年における葬送の簡素化は、人間だけが持つ「死の尊厳」が薄れ、
他の動物とあまり変わらないようになりつつあるのではと思います。

『新訂 先祖の話』発刊


さて、私どもの会社が加盟する、墓石・石材関連の公益法人であります、
一般社団法人 日本石材産業協会(会員数約1300社)では、
お墓への様々な「疑問」や「悩み」に対する無料相談や、
災害よる倒壊墓石の修復事業など、全国各地で様々な事業を行っております。

そして、現代社会に見失われた「生と死の尊厳」を回復したいという想いで、
(一社)日本石材産業協会に加盟する有志が中心となり、
兵庫県出身の民俗学者、柳田國男氏の不朽の名著『先祖の話』を、
柳田氏の没後50周年を記念して、読みやすくリニューアルし、
2008年(平成20年)8月に『新訂 先祖の話』(石文社)が出版されました。

『新訂 先祖の話』

『先祖の話』は1946年(昭和21年)に初版が発行され、
亡くなった家族の霊が子孫を見守る「祖霊」になることなど、
日本人の死生観を多くの民間伝承をもとに描き出しています。

神戸新聞読者へのプレゼント企画


その後、この書籍70冊を無料進呈させていただく企画を、
神戸新聞紙面(2013年8月16日・朝刊)に記事掲載していただいたところ、
予想をはるかに上回る、1,000通を超える申し込みがあったのです。

神戸新聞「新訂 先祖の話」進呈企画

これだけ多くの方の申し込みがあるということは、
葬儀を行わない、海洋散骨、樹木葬など、供養の簡素化が進む中でも、
やはり、先祖のことに関してはどうも気になるという方が、
まだまだいらっしゃるということの証明ではないでしょうか。


          ~つづく~


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専門家

能島孝志(1級お墓ディレクター)

株式会社第一石材

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