身体活動増加で心血管疾患減少?
カロリー制限で寿命延長?
おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は「カロリー制限で寿命延長?」という報告です。
「腹八分目」は健康に良いと言われる。実際、餌のカロリーを制限すると、酵母や線虫、ハエ、ネズミなどでは寿命が延びることが知られている。しかし、人間に近いサルでは、二つのグループから相反する結果が出て、論争が起きていた。このほど両者がデータを持ち寄って再検討した結果、サルでもカロリー制限は病気の予防などに効果があることがわかった。ただ、人間に応用するには注意も必要だ。
20年以上にわたってサルの長期観察研究を行ったのは、米ウィスコンシン大学(UW)と米国立老化研究所(NIA)のチーム。UWの研究では、カロリー制限で加齢による病気の発症を抑えられ、寿命が延びると結論づけたのに対して、NIAの研究では明確な違いは見られなかった。両者の結論が異なったのは、餌の与え方や内容に違いがあるのが一因だった。UWでは、比較のためのカロリー制限しないサルに、いつでも自由に餌を食べさせていた。一方、NIAではカロリー制限しないサルでも餌の量や時間が決められていた。餌自体も、UWはショ糖やコーン油など精製された食品が多かったのに対し、NIAは天然食品を使い、UWに比べ、低脂肪、高たんぱく質で食物繊維が多い「健康的」な内容だった。NIAで差が出なかったのは、カロリー制限しないサルでも十分に健康的だった可能性がある。
順天堂大学の研究者は「サルと人は共通点が多く、人でもカロリー制限は健康寿命を延ばす可能性が示された。ただ人の場合、カロリー制限だけでは骨や筋肉の量が低下する。適度な運動と組み合わせることが大切」と指摘する。抗加齢医学に詳しい慶応大学の坪田教授は「カロリー制限は、早死にを防ぎ、最大寿命に近づける効果が期待できる。ただ、成長期と高齢者は注意が必要。運動不足と食べ過ぎでちょっと太ってきたなと感じる中年層が、カロリー制限するのがちょうどよい」と指摘する。日本人の高齢者は低栄養の人が多く、たんぱく質を十分にとって身体や認知機能が低下する「フレイル(虚弱)」を防ぐことが大切だ。上手なカロリー制限のポイントとして〈1〉夜遅く食事をしないなど食べるタイミングを考える〈2〉野菜を最初に食べたり、精製されていない食品を選んだりして血糖値が急に上がらないようにする〈3〉栄養バランスを考えて多くの種類の食品をとる〈4〉相乗効果が期待される運動と組み合わせる――を助言する。
超高齢化社会を迎えた日本では糖尿病治療の分野でも年齢により血糖コントロールの程度に差別化を図るようになってきています。坪田教授の言葉にもあるように高齢者のカロリー制限には注意が必要で私も過体重の高齢者の方には「極端なカロリー制限はしなくても良いですから体重が増えないように気をつけて下さい」と常日頃伝えるようにはしています。