才能がある人は弱みを克服しない
目次
「会社を辞めて、自由に働きたい。」
そう言って、
起業する人がいます。
いいですね。
満員電車ともお別れ。
上司の顔色ともお別れ。
面倒な会議ともお別れ。
「これ、今日中にお願いします。」
という、謎の急ぎ案件ともお別れ。
そして、ついに自由。
……のはずでした。
ところが。
起業した途端、
なぜか会社員時代より、
会社員らしくなる人がいます。
( ̄▽ ̄;)
自由になったのに、まず「オフィス」を探す
会社員時代。
「毎日、会社に行くのがしんどい。」
そう言っていた。
それなのに、起業したら、
「仕事をするには、ちゃんとした場所が必要です。」
と、オシャレなシェアオフィスを探し始める。
机。
椅子。
会議室。
受付。
電話対応。
Wi-Fi。
観葉植物。
……会社員時代より、会社っぽい。
しかも、
「ここなら仕事モードに切り替えられるんです。」
と言う。
いや。
起業してまで、
仕事モードに切り替えるための環境整備から始めるんかい。
自由とは。
まず椅子から作るものなのか。
会議室があると、急に社長っぽくなる
起業すると、
「打ち合わせの場所が必要だから。」
と、会議室を借りる。
テーブルがある。
ホワイトボードがある。
モニターがある。
コーヒーまで出てくる。
完璧です。
……それで、何を話すんですか?
相手と二人。
話すことは、
「では、今後どうしましょうか。」
「そうですね。」
「また連絡します。」
以上。
会議時間、30分。
内容、3分。
残り27分。
会議室が頑張っている。
「社長」という肩書きだけは立派
名刺も作る。
代表取締役。
CEO。
Founder。
代表。
肩書きだけ見ると、ものすごい会社です。
ところが社員。
自分。
経理。
自分。
営業。
自分。
広報。
自分。
クレーム対応。
……自分。
社長なのに、
自分の部下が自分しかいない。
しかも、
その部下が言うことを聞かない。
「今日はちょっと疲れたので、午後からにします。」
社長。
「了解。」
……誰が社長なんだ。
会社員時代に嫌だったものを、自分で再現する
会社員時代。
「会議ばっかりで仕事が進まない。」
と言っていたのに、
起業すると、
「定例ミーティングを設定しましょう。」
となる。
会社員時代。
「報告書、面倒くさい。」
と言っていたのに、
起業すると、
売上管理。
経費管理。
顧客管理。
SNS分析。
アクセス解析。
スケジュール管理。
……管理。
管理。管理。管理。管理。管理。
自由になるために起業したのに、
管理職の仕事だけ、全部自分で引き取っている。
しかも、誰にも給料を払ってもらえない。
「忙しい」は、起業家の制服になりやすい
そして、
「最近、忙しくて。」
という言葉が増える。
朝から予定。
昼も予定。
夕方も予定。
夜は交流会。
土日は勉強会。
SNSも更新。
名刺交換もする。
異業種交流会にも行く。
セミナーにも参加する。
……それで、
お客さんに、何を売ったんでしたっけ?
忙しい。
ものすごく忙しい。
でも、
売上につながる仕事をしている時間は、
意外と少ない。
仕事をしているというより、
仕事をしている雰囲気を維持する仕事をしている。
これ、かなり危険。
起業すると、会社員時代の「安心」まで持ってくる
会社員には、会社があります。
上司がいます。
同僚がいます。
決まった時間があります。
決まった給料があります。
だから、
会社を辞めて起業するなら、
当然、不安定になります。
自由になります。
自分で決めます。
自分で動きます。
自分で責任を取ります。
ところが、
「自由になりたい。」
と言いながら、
会社員時代の安心材料を、
全部持ってきたくなる。
立派な事務所。
立派な名刺。
立派な肩書き。
立派な会議室。
立派なホームページ。
立派なプロフィール写真。
そして、
肝心のお客さんだけ、
まだいない。
……そこだけ、手ぶら。
起業に必要なのは「会社らしさ」ではない
起業したばかりなら、
家でもいい。
喫茶店でもいい。
相手の会社に行ってもいい。
必要なら、
公園のベンチで考えたっていい。
大事なのは、
「どこで仕事をするか。」
より、
「誰の、どんな困りごとを解決して、お金をもらうのか。」です。
オフィスが先じゃない。
会議室が先でもない。
肩書きでもない。
ロゴでもない。
まず、お客さん。
ここを飛ばして、
会社らしいものだけ増やしていくと、
気がついたら、
「起業した人」ではなく、
「会社員のコスプレをしている個人事業主」
になっている。
自由になったのに、自分で自分に「月曜日」を作る
起業は、
会社員から逃げることではありません。
会社員時代の常識を、
一回、自分で疑ってみることでもあります。
毎朝、同じ時間に起きなくてもいい。
毎日、同じ場所に行かなくてもいい。
会議をしなくてもいい。
スーツを着なくてもいい。
上司に許可を取らなくてもいい。
なのに。
自分で、
「ちゃんとしなきゃ。」
「仕事っぽくしなきゃ。」
「会社らしくしなきゃ。」
と始める。
そして、
月曜日を自分で作る。
火曜日も作る。
水曜日も作る。
……土日まで作る。
会社を辞めたのに、
自分で会社を再建している。
しかも、
社長なのに、
社長を休ませる人がいない。
これが、なかなかの罠。
起業したなら、
会社員時代より、
会社員になる必要はない。
自由になったのなら、
「自由な働き方って、何だ?」
そこから考えてもいい。
オフィスがなくてもいい。
会議室がなくてもいい。
立派な肩書きがなくてもいい。
必要なのは、
仕事を生み出す力。
そして何より、
「で、誰がお客さんなの?」
この質問から逃げないこと。
ここを考えずに、
オフィスだけ立派にすると、
一番立派なのは、
誰もいない会議室。
……という、ちょっと切ない起業になります。



