ルール、そこまで探します?

鎌田千穂

鎌田千穂

テーマ:心のあり方のヒント

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仕事をしていると、
たまに出会う。

「それって、禁止されてます?」


……そこ?
何か問題が起きたらしい。

話を聞いていると、

「でも、それは禁止されてないですよね」
「そんなルール、聞いてないです」
「どこに書いてあります?」

と続いていく。

話が、
だんだん仕事の相談から、
法律相談みたいになってくる。

別に裁判を始めたわけじゃない。
仕事の話です。

「書いてない」を探すのが、やたら上手い

例えば、
共有スペースに荷物を置いていた。

「ここ、みんな使いますよ」

と言うと、

「でも、荷物を置いたらダメって書いてないですよね」

……書いてない。
確かに書いてない。

「じゃあ、誰かが通ることは考えましたか?」
「そこまでは……」


なるほど。

荷物より先に、発想が通路を塞いでいる。

「置いたらダメ」と書かれていなければ、

……置いていい。

そこまで一直線。

誰かが困るか。
次に使う人はどうするか。

そこは、
まだ検索結果に出てこないらしい。

「ダメじゃない」と「いい」は、別の話

仕事が遅れたときも、
似たことがある。

「どうして連絡しなかったんですか?」
「遅れるときは連絡してくださいって、言われてないので」


……なるほど。

「遅れるときは、
普通に連絡するものじゃないですか?」

「でも、ルールにはないです」

そうか。

じゃあ、
「遅れる場合は連絡してください」
というルールを作る。

すると今度は、

「何分遅れたらですか?」

となる。

5分?
10分?
30分?

……そのうち、

「トイレが長引いた場合は?」

まで聞かれそうで、
ちょっと怖い。

「そこまで書かないと分からないの?」

そうなると、
仕事のルールではなく、

「大人向け・生活のしおり」

になってくる。

ルールの穴を埋め始めると、終わらない

もちろん、
決まりは必要。

何でも「察してください」では、
それはそれで困る。

とはいえ、
仕事って、
書いてあることだけで進んでいるわけじゃない。

誰かが来る。
次に誰かが使う。
予定がずれる。
相手が困る。

毎日、
そんな小さなことが起きる。

そのたびに、

「これは規則第何条ですか?」
「どこに書いてありますか?」

と確認していたら、

仕事より先に、
規則集が育っていく。

しかも、
ものすごい勢いで。

「これも書いておいてください」
「前に揉めたので、これも」
「それも禁止にしてください」

こうして、
一つずつ増えていく。

最初は、
みんなが困らないためのルール。

そのうち、

「そこまで書かないと分からない職場」

が出来上がる。

……なんということでしょう。

ルールを増やしたら、
ルールを増やさないといけない問題が増えた。

……機能、盛りすぎ。

「私は悪くない」が、一番やっかい

仕事で何かあったとき、

「私は悪くないです」

と言われることもある。

理由を聞くと、

「禁止されてないから」

だったりする。

確かに、
ルール違反ではないのかもしれない。

でも、

「相手はどうだったと思います?」

と聞く。

ここで、
返ってくる答えが面白い。

「……嫌だったかもしれません」

だったら、自分事として考えて、相手側にも立てる。

ところが、

「そんなの、人によって受け取り方が違います」

となる。

……出ました。

自分の正しさを守るための、急カーブ。

さらに、

「……わかりません」

となる。

……わからないというより、

「あなたの期待する答えを、私が答える必要あります?」

という顔をする。

こちらはただ、
「相手はどう思ったでしょうね?」
と聞いただけなのに。

誰も戦闘開始の合図なんて出していない。

そう。

「悪くない」と「いい」は、同じじゃない。

ルールの穴を見つけても、景品は出ない

・禁止されていない
・書いていない
・誰にも言われていない


この三つは、
確かに便利。

でも、
これだけで全部を決め始めると、

「どうしたらいい?」

ではなく、

「どうしたら怒られない?」
「どうしたら、自分は曲げずに、相手を曲げさせる?」

になってしまう。

そして、
「浅く場当たり的な怒られない方法」を極める人が増える。

職場には、
細かいルールが増える。

「これも禁止です」
「これも事前確認です」
「これも申請してください」
「これも勝手に判断しないでください」

出来上がるのは、

「自分の判断で動かないでください」

という暗黙のルール成立。

そこまでいくと、

巨大な「おやくそく」掲示板。
考えなくていい指示待ち人間爆誕。


大人が働いているのに、
貼り紙だけが幼稚園仕様。

……なんだか、すごい。

最後に残るのは、ルールより「次の人」

ルールは必要。
守ることも大事。

でも、
仕事にはルールになる前の判断がある。

誰かが使う。
誰かが待つ。
誰かが困る。
その次に、また誰かが来る。

「このあと何が起きるか」まで考えて動けるか。

結局、そこなのだと思う。

「禁止されていないからやる」と、
「誰も禁止していないけど、やらない」は、

同じ自由でも、ずいぶん違う。

だから、

「それ、禁止されてます?」

と聞かれたとき。

私はたまに思う。

「禁止されてるかどうかの前に、それ、わざわざやる?」

法律にも書いてない。
就業規則にも書いてない。

マニュアルにも、
たぶん書いてない。

でも、
こういうところにこそ、
その人の仕事のクセは出る。

とはいえ、

そのクセに、
いちいち規則番号を振るほど、
会社は暇じゃない。

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鎌田千穂
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鎌田千穂(産業カウンセラー)

Chi-ho’s studio

組織課題を広い視野で捉え、主体性を持った思考と行動力、公私の均衡を図る自律型人材育成を行うこと。分析・統計による業務改善の解決策を示し、個人の悩みを解き放ち、企業の繁栄に繋げることが専門です。

鎌田千穂プロは九州朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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