放射温度計について

熊田茂雄

熊田茂雄

テーマ:検査技術

 放射温度計(radiation thermometer)は、物体から放射される赤外線エネルギーを測定し、その強度から温度を算出する温度計です。物体はその温度に応じて赤外線を放射しており、温度が高いほど放射される赤外線の強度も増加します。

また、放射温度計は非接触式であり、物体に触れずに温度を測定できるため、様々な用途で利用されています。

 放射温度計で正確な温度測定する為には、各物体特有の放射率を把握することが不可欠になります。放射率を正しく設定しないと、温度計測の精度が低下し、誤った測定結果を得る可能性があります。特に金属加工や半導体製造など、高精度な温度管理が必要な分野で重要です。

 放射率は物質の種類や表面状態によって異なります。一般に、光沢のある金属は放射率が低く、酸化や汚れで表面が粗くなると放射率は高くなります。絶縁物や非金属は比較的高い放射率を持つ傾向があります。また、波長や放射角度によっても変化します 。

 放射率は、物体が放射する熱エネルギー(赤外線など)を、同じ温度の理想的な黒体が放射するエネルギーと比較した比率です。黒体はすべての光を完全に吸収し、最大限の放射を行う仮想的な物体であり、放射率は黒体を1、完全反射体を0として表されます。

 放射率は計算で求めることはできず、実測によって設定されます。一般的な方法として、接触式温度計で物体の表面温度を測定し、放射温度計の放射率を調整して同じ温度になるように設定します。また、黒体テープ(放射率0.94)を貼り付けて基準とする方法もあります。

 一方、放射温度計を使用する際の、計測温度の校正のために、黒体炉(Blackbody furnace)を使用することについては、以前【黒体炉】で解説しましたので、ご参照願います。

 添付の図は、黒体テープ、黒体塗料、黒体炉などを使用して、放射率を設定する手順について解説したものです。

【参考ブログ】
https://www.pec-kumata.com/post/radiationthermometer

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熊田茂雄
専門家

熊田茂雄(生産技術コンサルタント)

PEC-KUMATA 生産技術コンサルタント

工程設計や工場管理に40年以上従事した現場経験をもとに、生産技術コンサルティングを提供。品質改善や生産性向上などQCD課題の改善策とあわせて、先端技術や異分野を取り入れた技術方向性もアドバイスします。

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