【風俗トラブル・ホストクラブ】ホストクラブの売掛を請求された|改正後に『払う必要のある売掛』を見分ける
本記事は2026年11月時点の法令をもとにしています。刑罰の表記は、2025年6月に施行された改正刑法にあわせて「拘禁刑」としています。
風俗店の利用後に、店やキャスト本人から「怪我をさせた」「治療費を払ってほしい」と連絡が来ることがあります。思い当たる場面がある方も、まったく心当たりがない方も、連絡を受けた直後は気持ちが動揺し、何から手をつけるべきか分からなくなりがちです。
こうした場面で後から効いてくるのが、日時・やり取り・手元の資料を早いうちに整理しておくことです。この記事では、キャストに怪我をさせたと治療費を請求された方に向けて、何をどの順序で記録しておくとよいかを、書き込み式の整理シートの形でご紹介します。
治療費の請求で記録が意味を持つ理由
怪我を理由にした請求は、治療費だけでなく、通院交通費、働けなかった期間の休業損害、精神的な苦痛に対する慰謝料などを組み合わせた形で示されることが多くあります。それぞれの費目には、本来その金額を裏づける根拠があるはずです。請求の内容が妥当かどうかを確かめるには、こちら側にも「いつ、どこで、何があったか」「誰から、いつ、いくらを求められたか」が分かる材料が欠かせません。
また、怪我をめぐる問題は民事の請求だけで終わらず、刑事手続に進む可能性も残ります。不注意による怪我であれば過失傷害罪(刑法209条、30万円以下の罰金又は科料)が問題となり、これは告訴がなければ起訴されない罪です。一方、故意の暴行による怪我と評価されれば傷害罪(刑法204条、15年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)が問題となり得ます。どちらと受け止められるかは当日の具体的な経過によって変わるため、記憶が新しいうちに経過を残しておくことには大きな意味があります。
整理シートの使い方
この記事の整理シートは、利用当日の経過、請求とやり取りの経過、手元の証拠と資料の3つに分かれています。紙でもスマートフォンのメモでもかまいませんが、書くときは次の点を意識してください。
- 見たこと・聞いたことと、自分の推測や評価を分けて書きます。
- 思い出せない部分は空欄のままにし、無理に埋めません。
- 書いた日付を残し、後から思い出したことは日付を付けて追記します。
- スクリーンショットや録音などの元データは消さずに残しておきます。
シート1 利用当日の経過を書き出す
まずは、利用した日の流れを時刻に沿って書き出します。請求する側の説明と照らし合わせる土台になる部分です。
| 項目 | 書く内容 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 店と業態 | 店名、デリヘル・店舗型などの区別 | 〇〇(派遣型) |
| 予約 | 予約した方法、時刻、伝えた名前と電話番号 | 電話で20時ごろ予約、本名と携帯番号を伝えた |
| 場所と時間 | 利用した場所、開始と終了の時刻 | 自宅近くのホテル、21時〜22時半ごろ |
| 担当したキャスト | 源氏名、店から説明された内容 | △△さん |
| 怪我の申告 | いつ、どの場面で、誰から言われたか | 終了後、着替えの途中で本人から |
| 申告の内容 | 部位、原因とされた動作、相手の言葉 | 腕を強くつかまれて痛いと言われた |
| その場の対応 | 謝罪の有無、店への連絡、支払いや書面の有無 | 店に電話し、スタッフと話した |
| 自分の状態 | 飲酒の量、体調、爪の長さなど | ビール2杯程度 |
怪我の原因とされる場面は、「強くつかんだ」「ぶつかった」といった言葉だけで終わらせず、どちらがどの姿勢で、どのような動作をしていたかを具体的に書いておくと、後で経過を説明するときに役立ちます。相手が口にした言葉は、要約せずに覚えている範囲でそのまま書き留めておきます。
心当たりがない場合の書き方
怪我をさせた覚えがない場合も、「何もしていない」と一言で済ませるのではなく、当日の流れを同じように時刻順に書き出すことが大切です。終了時に相手の様子に変わりがなかったか、怪我の話が出たのはいつだったかといった点が、後で意味を持つことがあります。心当たりがない請求への向き合い方は、【風俗トラブル】キャストに怪我をさせたと言われたが身に覚えがないでも解説しています。
シート2 請求とやり取りの経過を時系列で残す
次に、請求を受けてからの連絡を、1件ずつ時系列で記録します。電話の内容は記録が残りにくいため、通話を終えたらできるだけ早くメモを取っておきます。
| 日時 | 相手 | 手段 | 内容の要点 | こちらの返答 | 残っている記録 |
|---|---|---|---|---|---|
| 〇月〇日 22時50分 | 店のスタッフ | 電話 | 治療費として10万円、明日までに | 確認してから連絡すると伝えた | 通話履歴 |
| 〇月〇日 10時15分 | 店の責任者を名乗る人物 | SMS | 診断書の画像、休業補償を追加 | 返信していない | スクリーンショット |
| 〇月〇日 18時00分 | キャスト本人 | LINE | 通院が続いている、慰謝料も求める | 返信していない | スクリーンショット |
やり取りを並べてみると、請求の全体像が見えやすくなります。特に次の点は、後から確認できるように意識して残しておきたいところです。
- 請求しているのが店なのか、キャスト本人なのか、それ以外の人物なのか。
- 金額とその内訳、内訳が連絡のたびに変わっていないか。
- 支払いの期限や方法として何を指定されたか。
- 「警察」「家族」「勤務先」など、支払い以外の話が出ていないか。
- こちらが何を約束し、何を約束していないか。
連絡のたびに金額や費目が増えていく場合には、その変化自体が整理の対象になります。こうした請求への向き合い方は、【風俗トラブル】請求額が連絡のたびに増えていく|金額が動く請求への向き合い方もあわせてご覧ください。
シート3 証拠と資料を一覧にする
最後に、手元にある資料と、まだ手元にない資料を一覧にします。「どこに何があるか」が分かっているだけでも、相談の際の説明がずっと進めやすくなります。
| 資料 | 手元にあるか | 保管場所 | 確かめたいこと |
|---|---|---|---|
| 予約の履歴やメール | あり | スマートフォン | 予約時刻と伝えた情報 |
| 利用料金の明細や領収書 | あり | 財布 | 支払った金額と時刻 |
| 通話履歴 | あり | スマートフォン | 着信の日時と回数 |
| メッセージのスクリーンショット | あり | 写真フォルダ | 日付と送信者が写っているか |
| やり取りの録音 | 一部あり | スマートフォン | 録音した日時と相手 |
| 相手から示された診断書や写真 | 画像のみ | 写真フォルダ | 発行日と医療機関、傷病名 |
| 治療費の領収書や明細 | なし | ― | 請求額との対応 |
| 署名した書面の控えや写真 | なし | ― | 書面の題名と記載内容 |
診断書や治療費の明細を示されたとき
相手から診断書や怪我の写真を示された場合は、内容を受け止める前に、いくつかの点を落ち着いて確認しておきます。
- 発行した医療機関と発行日。
- 記載されている傷病名と、必要とされる治療の期間。
- 受診した日が利用日からどれくらい後か。
- 原本なのか、画像やコピーなのか。
- 請求されている治療費と、領収書や明細の金額が対応しているか。
診断書があることは、それだけで請求額のすべてが裏づけられることを意味するわけではありません。怪我の程度と治療の期間、実際に支払われた治療費の額は、それぞれ別に確かめる必要があります。診断書を見せられた場面については、【風俗トラブル】キャストの診断書を見せられた|怪我や体調不良を理由にした請求で詳しく扱っています。
録音やスクリーンショットの扱い
相手とのやり取りを自分で録音したものは、民事の話し合いや手続で事実を確かめる材料として使われることがあります。スクリーンショットは、相手の名前や日付が画面に入るように撮り、トーク画面そのものも消さずに残しておきます。ただし、こうした記録を第三者に見せたりインターネット上に載せたりすると、別の問題を招くおそれがあるため控えてください。録音の残し方については、録音はどこまで証拠になるか|風俗トラブルでの残し方も参考になります。
記録を取るときに避けたいこと
記録を整えようとするあまり、かえって状況を難しくしてしまうことがあります。次のような行動は控えておくのが無難です。
- 記録を集める目的で、店やキャストに何度も連絡を取ること。
- 自分に不利に思える内容のメッセージや履歴を消すこと。
- すでに書いたメモを、日付を残さずに書き換えること。
- 相手の住所や勤務先などを調べようとすること。
- 資料をそろえる前に、その場の勢いで書面に署名したり支払いを約束したりすること。
特に、記録を消す行為は、後で経過を説明する手がかりを自分でなくすことにつながります。都合が悪く感じる内容も含めて、ありのままを残しておくことが、結果として自分を守ることになります。
整理したシートをどう使うか
3つのシートがそろったら、請求されている費目ごとに、それを裏づける資料があるかどうかを見比べてみます。
| 請求の費目 | 対応を確かめたい資料 |
|---|---|
| 治療費 | 医療機関の領収書、診療明細 |
| 通院交通費 | 通院の回数と経路 |
| 休業損害 | 休業した期間と、その間の収入を示す資料 |
| 慰謝料 | 怪我の程度、治療にかかった期間 |
見比べてみると、根拠が示されている部分と示されていない部分が分かれてくることが多くあります。この整理ができていれば、支払いを検討する範囲や、相手に説明を求める点を落ち着いて考えやすくなります。話し合いがまとまる場合には、支払う金額だけでなく、それで問題を終わらせる条項や、刑事手続に関する取り決めを書面に盛り込むことも重要です。示談書に入れたい内容は、風俗トラブルの示談書に必ず入れる6条項|抜けると後で効かないでまとめています。
自分で相手と話を続けるか、弁護士に窓口を任せるかは、請求の内容や相手の出方によって判断が分かれます。判断の目安については、【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情をご覧ください。当事務所で扱った怪我をめぐる請求の解決事例も、あわせてご紹介します。
記録の整理から始めることが、落ち着いた対応につながります
治療費の請求を受けた直後は、早く終わらせたい気持ちから、内容を確かめないまま支払いに応じてしまう方も少なくありません。しかし、当日の経過、請求の経過、手元の資料を順に整理していくと、何が分かっていて何が分かっていないのかが見えてきます。整理が途中の段階でも、手元にあるシートや資料をそのままお持ちいただければ、相談の場で一緒に確認していくことができます。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


